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2024年04月10日
労基法24条1項但書に基づき書面の労使協定により賃金からの控除が許される「事理明白なもの」とは,労働者が当然に支払うべきことが明らかなものであり,控除の対象となることが労働者にとって識別可能な程度に特定されているものでなければならない一方で,労働者が自由な意思に基づき控除に同意した費用は,労働者が当然に支払うべきことが明らかなものに該当するので,その控除は労基法24条1項に違反しないとされた例

労基法24条1項但書に基づき書面の労使協定により賃金からの控除が許される「事理明白なもの」とは,労働者が当然に支払うべきことが明らかなものであり,控除の対象となることが労働者にとって識別可能な程度に特定されているものでなければならない一方で,労働者が自由な意思に基づき控除に同意した費用は,労働者が当然に支払うべきことが明らかなものに該当するので,その控除は労基法24条1項に違反しないとされた例

 

 

賃金等請求事件

【事件番号】      京都地方裁判所判決/令和元年(ワ)第3008号

【判決日付】      令和5年1月26日

【判示事項】      1 労基法24条1項但書に基づき書面の労使協定により賃金からの控除が許される「事理明白なもの」とは,労働者が当然に支払うべきことが明らかなものであり,控除の対象となることが労働者にとって識別可能な程度に特定されているものでなければならない一方で,労働者が自由な意思に基づき控除に同意した費用は,労働者が当然に支払うべきことが明らかなものに該当するので,その控除は労基法24条1項に違反しないとされた例

             2 労基法89条5号の規定等に照らし,使用者と労働者の個別合意により事業遂行上の費用の一部を労働者の負担とすることが許容されているとされた例

             3 使用者が,業務遂行費用を営業職員に負担させることは,労働者を身分的に拘束したり,労働者に過度な負担を負わせるとは必ずしもいえないとして,労基法16条の趣旨に反しないとされた例

             4 賃金全額払いの趣旨に照らし,使用者から義務づけられ,労働者にとって選択の余地がない営業活動費を労働者が負担することは,自由な意思に基づく合意とはいえず,賃金からの控除は許されないとされた例

             5 業務上の利用が推奨されているが,義務づけられてはいなかった業務用の本件携帯端末の利用料につき,書面による合意があるとして賃金からの控除が適法とされた例

             6 営業活動において利用することが推奨されているが,義務づけられてはいなかった物品費につき,原告Xが明示的に異議を述べた時点までは,異議なく賃金支払いを受けていたこと等から同意が認められるとして,賃金からの控除が適法とされた例

             7 全営業職員が一律に定額負担するコピー用紙トナー代につき,個別合意が認められず,賃金全額払い原則の趣旨からも有効性を認めることは困難であるとして,賃金からの控除が違法とされた例

             8 雇用契約上の費用償還請求権,立替払契約に基づく立替金請求権,不当利得返還請求権,または事務管理による有益費償還請求権を根拠とする,業務に利用した携帯電話料金相当額の支払請求がいずれも棄却された例

【掲載誌】        労働判例1282号19頁

 

 

労働基準法

(賃金の支払)

第二十四条 賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない。ただし、法令若しくは労働協約に別段の定めがある場合又は厚生労働省令で定める賃金について確実な支払の方法で厚生労働省令で定めるものによる場合においては、通貨以外のもので支払い、また、法令に別段の定めがある場合又は当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定がある場合においては、賃金の一部を控除して支払うことができる。

② 賃金は、毎月一回以上、一定の期日を定めて支払わなければならない。ただし、臨時に支払われる賃金、賞与その他これに準ずるもので厚生労働省令で定める賃金(第八十九条において「臨時の賃金等」という。)については、この限りでない。

 

(作成及び届出の義務)

第八十九条 常時十人以上の労働者を使用する使用者は、次に掲げる事項について就業規則を作成し、行政官庁に届け出なければならない。次に掲げる事項を変更した場合においても、同様とする。

一 始業及び終業の時刻、休憩時間、休日、休暇並びに労働者を二組以上に分けて交替に就業させる場合においては就業時転換に関する事項

二 賃金(臨時の賃金等を除く。以下この号において同じ。)の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の時期並びに昇給に関する事項

三 退職に関する事項(解雇の事由を含む。)

三の二 退職手当の定めをする場合においては、適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算及び支払の方法並びに退職手当の支払の時期に関する事項

四 臨時の賃金等(退職手当を除く。)及び最低賃金額の定めをする場合においては、これに関する事項

五 労働者に食費、作業用品その他の負担をさせる定めをする場合においては、これに関する事項

六 安全及び衛生に関する定めをする場合においては、これに関する事項

七 職業訓練に関する定めをする場合においては、これに関する事項

八 災害補償及び業務外の傷病扶助に関する定めをする場合においては、これに関する事項

九 表彰及び制裁の定めをする場合においては、その種類及び程度に関する事項

十 前各号に掲げるもののほか、当該事業場の労働者のすべてに適用される定めをする場合においては、これに関する事項

 

 

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