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2024年02月12日
訴状に被告として表示されている者が裁判所に対する訴状の提出後その送達前に死亡した場合において、相続人が、異議を述べずに被告の訴訟を承継する手続をとり、第1、2審を通じて、自ら進んで訴訟行為をしたなど判示のような訴訟の経過(判決理由参照)のもとでは、相続人において、本件訴状の被告が死者であるとして、上告審において自らの訴訟行為の無効を主張することは、信義則上許されない。

訴状に被告として表示されている者が裁判所に対する訴状の提出後その送達前に死亡した場合において、相続人が、異議を述べずに被告の訴訟を承継する手続をとり、第1、2審を通じて、自ら進んで訴訟行為をしたなど判示のような訴訟の経過(判決理由参照)のもとでは、相続人において、本件訴状の被告が死者であるとして、上告審において自らの訴訟行為の無効を主張することは、信義則上許されない。

家屋明渡請求事件

【事件番号】 最高裁判所第1小法廷判決/昭和39年(オ)第1403号

【判決日付】 昭和41年7月14日

【判示事項】 信義則上訴訟行為の無効を主張しえないとされた事例

【判決要旨】 訴状に被告として表示されている者が裁判所に対する訴状の提出後その送達前に死亡した場合において、相続人が、異議を述べずに被告の訴訟を承継する手続をとり、第1、2審を通じて、自ら進んで訴訟行為をしたなど判示のような訴訟の経過(判決理由参照)のもとでは、相続人において、本件訴状の被告が死者であるとして、上告審において自らの訴訟行為の無効を主張することは、信義則上許されない。

【参照条文】 民事訴訟法1編第4章第1節

       民事訴訟法208

       民事訴訟法229

【掲載誌】  最高裁判所民事判例集20巻6号1173頁

事案の概要

 本件は、訴状に被告として表示されている者が原告が裁判所に対し訴状を提出した時には生存していたが、その訴状が「被告」に対し送達手続中死亡してしまつた場合において、その訴訟はどうなるのか、また、被告の相続人がその訴訟を承継したときはどうなるのかという点についての最高裁判所として、はじめての判断である。

 かつて、訴訟係属の効果の発生時期については、訴状提出時説(細野「要義」2巻216頁加藤「要論」385頁、大審判昭和11年10月20日法学6巻106頁)が有力であつた。

この説に立てば、本件の訴訟手続はなんら問題ではない。

しかし、最近の有力説である訴状送達時説(兼子「体系」173頁、三ケ月「全集」331頁、岩松=兼子編「実務講座」2巻89頁)に立つと、問題は、複雑化する。

おそらく、この後者の説では、死者に対する訴えとして、訴え却下の結論を導くのであろう。

 しかし、相続人から訴訟受継の申立があり、相続人が訴訟を追行した場合にはどうか。

このようなときにも、常に訴却下の結論を出せというのでは、すこぶる不合理な事態をも招来することがある。

 本件はまさにこのような事情にある、そしてそのような事情のときには当事者の確定につきいわゆる行動説(この点について中務「当事者の確定」民訴講座1巻73頁)を、また、いわゆる任意的当事者の変更を認める説(この点については、中務「民訴法演習」I 43頁など)をとるときには、本件の「当事者」は、結局、承継手続をとつた「上告人」らであると認めることもできたはずであるが、当審判決は、これらの点について判断を下さずに、信義則上、自らつくした訴訟行為を無効といえないとした。

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