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新着情報
2022年09月09日
障害を理由とする公共職業訓練不合格処分の国家賠償法上の違法性―高知県事件

 

【判例番号】      L07520547

             公共職業訓練不合格処分取消等,損害賠償請求控訴,同附帯控訴事件

【事件番号】      高松高等裁判所判決/平成30年(行コ)第11号、平成30年(行コ)第16号

【判決日付】      令和2年3月11日

【掲載誌】        LLI/DB 判例秘書登載

【評釈論文】      賃金と社会保障1759~1760号68頁

 

       主   文

 

 1 本件控訴及び附帯控訴をいずれも棄却する。

 2 当審における訴訟費用は各自の負担とする。

 

       事実及び理由

 

 第1 当事者の求めた裁判

 1 控訴の趣旨

 (1)原判決中控訴人の敗訴部分を取り消す。

 (2)上記部分に係る被控訴人の請求を棄却する。

 2 附帯控訴の趣旨

 (1)原判決中控訴人に対する損害賠償請求に関する部分を次のとおり変更する。

 (2)控訴人は,被控訴人に対し,165万円及びこれに対する平成26年5月2日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

 第2 事案の概要等

 1 事案の概要

 本件は,被控訴人が,国(高知地方裁判所平成27年(ワ)第374号損害賠償請求事件被告)から委託を受けて控訴人が実施する職業能力開発促進法4条2項に基づく職業訓練の受講を申し込み,その選考を受験したところ,控訴人が被控訴人の広汎性発達障害を理由として同選考を不合格とする違法な処分をしたと主張して,控訴人に対し,同処分の取消し及び国家賠償法1条1項に基づく損害賠償として165万円及びこれに対する違法行為の後の日である平成26年5月2日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を,国に対し,国家賠償法1条1項に基づく損害賠償として165万円及びこれに対する同遅延損害金の支払をそれぞれ求めた事案である。

 原審は,被控訴人の処分取消しの訴えを却下し,控訴人に対する損害賠償請求のうち,33万円及びこれに対する上記遅延損害金の支払を命ずる限度で認容し,控訴人に対するその余の請求及び国に対する請求をいずれも棄却したところ,控訴人が上記敗訴部分を不服として控訴し,被控訴人が控訴人に対する損害賠償請求の敗訴部分を不服として附帯控訴した。したがって,当審における審理の対象は,被控訴人の控訴人に対する上記損害賠償請求の当否である。

 2 関係する法令等の概要

 関係する法令等の概要は,原判決12頁18行目の「26」の次に「日」を加えるほか,原判決第2の1記載のとおりであるから,これを引用する。

 3 前提事実(争いのない事実,後掲各証拠及び弁論の全趣旨により容易に認定し得る事実)

 (1)当事者等

 ア 被控訴人(昭和31年○月○○日生)は,発達障害の診断を受け,精神保健福祉法45条2項の規定により精神障害者保健福祉手帳(以下「障害者手帳」という。)の交付を受けていた者であり,平成26年度介護職員初任者研修科1(以下「本件職業訓練」という。)の受講を申し込み,その選考を受験した者である(甲2)。

 イ 控訴人は,促進法4条2項に基づき本件職業訓練を実施していた。控訴人は,同法に基づく職業能力開発校として,高知県立A技術学校(以下「本件学校」という。)を設置している。(乙2)

 (2)本件職業訓練

 本件職業訓練は,促進法4条2項に基づく離職者訓練であり,国から委託を受けた控訴人が株式会社B高知支店(以下「B高知支店」という。)に再委託して実施した委託訓練である。

 本件職業訓練は,初めて介護の仕事に就こうとする者を対象とした訓練であり,介護の基礎知識・技術の習得を目標とするものであった。(甲3,同16,同17)

 (3)本件職業訓練についての選考

 本件職業訓練についての選考(以下「本件選考」という。)は,控訴人に委託されており,本件学校の校長(以下「学校長」という。)は,高知県事務処理規則(平成15年4月1日規則第44号)に基づき,高知県知事から職業訓練の選考に関する決定権限を受任した決裁権者であった。

 本件職業訓練の募集要項(以下「本件募集要項」という。)は原判決別紙のとおりである。(甲3,乙9)

 (4)被控訴人の受験

 ア 被控訴人は,平成25年10月,就職に向けて,高知公共職業安定所(以下「高知安定所」という。)に相談し,その際,自身に発達障害があることや障害者手帳の申請を行っていることを申告した。被控訴人は,同年12月には,高知安定所において障害者登録を行った。

 イ 被控訴人は,平成26年4月8日,本件学校宛ての公共職業訓練受講申込書を高知安定所に提出し,同月22日,当時の高知職業訓練支援センター(以下「本件選考会場」という。)で行われた本件選考を受験した。本件選考は,筆記試験と面接試験(以下「本件面接」という。)から成り,被控訴人に対する面接は,本件学校の職員1名とB高知支店の担当者1名(以下「面接担当者ら」という。)が担当した。

 ウ 面接担当者らは,受験者ごとに,本件面接の結果をあらかじめ定められた面接評価シートと題する書式(以下「本件評価シート」という。)に記載した。

 本件面接においては,面接官2名が共に0点と評価する項目がある場合(以下「ゼロ評価」という。)には,合格の優先順位を下げることとされていたところ,面接担当者らは,被控訴人について,修了見込に関し,「安全に実技を行うことができる健康状態であり,訓練を受講・修了することに支障がない」との項目(以下「本件項目」という。)をゼロ評価とした。(甲5の1及び2,同24ないし28,同30,乙10)

 (5)被控訴人に対する不合格判定

 学校長は,本件選考について被控訴人を不合格とする旨の決裁を行い,高知県知事は,これに基づいて平成26年5月1日付けで,本件選考につき,被控訴人を不合格とした(以下「本件不合格」という。)。被控訴人は,本件不合格により,高知安定所長から本件職業訓練についての受講指示を受けることができず,本件職業訓練を受講することができなかった。本件職業訓練は,同年8月8日に終了した。(甲3)

 (6)別件研修の受講

 被控訴人は,平成26年5月16日,求職者支援法に基づく職業訓練としての介護職員実務者研修科(以下「実務者研修」という。)の選考に合格し,その後,同研修を修了した(甲11ないし13)。

 4 争点及びこれに対する当事者の主張

 (1)本件不合格の違法性の有無(争点1)

 ア 被控訴人の主張

(後略)

 

[根拠条文]

 

目次

 

第一章 総則(第一条―第十三条)

第二章 障害者の自立及び社会参加の支援等のための基本的施策(第十四条―第三十条)

第三章 障害の原因となる傷病の予防に関する基本的施策(第三十一条)

第四章 障害者政策委員会等(第三十二条―第三十六条)

附則

 

第一章 総則

(目的)

第一条  この法律は、全ての国民が、障害の有無にかかわらず、等しく基本的人権を享有するかけがえのない個人として尊重されるものであるとの理念にのつとり、全ての国民が、障害の有無によつて分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会を実現するため、障害者の自立及び社会参加の支援等のための施策に関し、基本原則を定め、及び国、地方公共団体等の責務を明らかにするとともに、障害者の自立及び社会参加の支援等のための施策の基本となる事項を定めること等により、障害者の自立及び社会参加の支援等のための施策を総合的かつ計画的に推進することを目的とする。

(定義)

第二条  この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

一  障害者  身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む。)その他の心身の機能の障害(以下「障害」と総称する。)がある者であつて、障害及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるものをいう。 

二  社会的障壁  障害がある者にとつて日常生活又は社会生活を営む上で障壁となるような社会における事物、制度、慣行、観念その他一切のものをいう。 

 

(差別の禁止)

第四条  何人も、障害者に対して、障害を理由として、差別することその他の権利利益を侵害する行為をしてはならない。

2  社会的障壁の除去は、それを必要としている障害者が現に存し、かつ、その実施に伴う負担が過重でないときは、それを怠ることによつて前項の規定に違反することとならないよう、その実施について必要かつ合理的な配慮がされなければならない。

3  国は、第一項の規定に違反する行為の防止に関する啓発及び知識の普及を図るため、当該行為の防止を図るために必要となる情報の収集、整理及び提供を行うものとする。

 

(国及び地方公共団体の責務)

第六条  国及び地方公共団体は、第一条に規定する社会の実現を図るため、前三条に定める基本原則(以下「基本原則」という。)にのつとり、障害者の自立及び社会参加の支援等のための施策を総合的かつ計画的に実施する責務を有する。

(国民の理解)

第七条  国及び地方公共団体は、基本原則に関する国民の理解を深めるよう必要な施策を講じなければならない。

(国民の責務)

第八条  国民は、基本原則にのつとり、第一条に規定する社会の実現に寄与するよう努めなければならない。

 

(施策の基本方針)

第十条  障害者の自立及び社会参加の支援等のための施策は、障害者の性別、年齢、障害の状態及び生活の実態に応じて、かつ、有機的連携の下に総合的に、策定され、及び実施されなければならない。

2  国及び地方公共団体は、障害者の自立及び社会参加の支援等のための施策を講ずるに当たつては、障害者その他の関係者の意見を聴き、その意見を尊重するよう努めなければならない。

 

(年次報告)

第十三条  政府は、毎年、国会に、障害者のために講じた施策の概況に関する報告書を提出しなければならない。

 

 

(職業相談等)

第十八条  国及び地方公共団体は、障害者の職業選択の自由を尊重しつつ、障害者がその能力に応じて適切な職業に従事することができるようにするため、障害者の多様な就業の機会を確保するよう努めるとともに、個々の障害者の特性に配慮した職業相談、職業指導、職業訓練及び職業紹介の実施その他必要な施策を講じなければならない。

2  国及び地方公共団体は、障害者の多様な就業の機会の確保を図るため、前項に規定する施策に関する調査及び研究を促進しなければならない。

3  国及び地方公共団体は、障害者の地域社会における作業活動の場及び障害者の職業訓練のための施設の拡充を図るため、これに必要な費用の助成その他必要な施策を講じなければならない。

(雇用の促進等)

第十九条  国及び地方公共団体は、国及び地方公共団体並びに事業者における障害者の雇用を促進するため、障害者の優先雇用その他の施策を講じなければならない。

2  事業主は、障害者の雇用に関し、その有する能力を正当に評価し、適切な雇用の機会を確保するとともに、個々の障害者の特性に応じた適正な雇用管理を行うことによりその雇用の安定を図るよう努めなければならない。

3  国及び地方公共団体は、障害者を雇用する事業主に対して、障害者の雇用のための経済的負担を軽減し、もつてその雇用の促進及び継続を図るため、障害者が雇用されるのに伴い必要となる施設又は設備の整備等に要する費用の助成その他必要な施策を講じなければならない。

 

 

(経済的負担の軽減)

第二十四条  国及び地方公共団体は、障害者及び障害者を扶養する者の経済的負担の軽減を図り、又は障害者の自立の促進を図るため、税制上の措置、公共的施設の利用料等の減免その他必要な施策を講じなければならない。

 

 

(司法手続における配慮等)

第二十九条  国又は地方公共団体は、障害者が、刑事事件若しくは少年の保護事件に関する手続その他これに準ずる手続の対象となつた場合又は裁判所における民事事件、家事事件若しくは行政事件に関する手続の当事者その他の関係人となつた場合において、障害者がその権利を円滑に行使できるようにするため、個々の障害者の特性に応じた意思疎通の手段を確保するよう配慮するとともに、関係職員に対する研修その他必要な施策を講じなければならない。

 

第三十一条  国及び地方公共団体は、障害の原因となる傷病及びその予防に関する調査及び研究を促進しなければならない。

2  国及び地方公共団体は、障害の原因となる傷病の予防のため、必要な知識の普及、母子保健等の保健対策の強化、当該傷病の早期発見及び早期治療の推進その他必要な施策を講じなければならない。

3  国及び地方公共団体は、障害の原因となる難病等の予防及び治療が困難であることに鑑み、障害の原因となる難病等の調査及び研究を推進するとともに、難病等に係る障害者に対する施策をきめ細かく推進するよう努めなければならない。

第四章 障害者政策委員会等

(障害者政策委員会の設置)

第三十二条  内閣府に、障害者政策委員会(以下「政策委員会」という。)を置く。

2  政策委員会は、次に掲げる事務をつかさどる。

一  障害者基本計画に関し、第十一条第四項(同条第九項において準用する場合を含む。)に規定する事項を処理すること。

二  前号に規定する事項に関し、調査審議し、必要があると認めるときは、内閣総理大臣又は関係各大臣に対し、意見を述べること。

三  障害者基本計画の実施状況を監視し、必要があると認めるときは、内閣総理大臣又は内閣総理大臣を通じて関係各大臣に勧告すること。

四  障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(平成二十五年法律第六十五号)の規定によりその権限に属させられた事項を処理すること。

3  内閣総理大臣又は関係各大臣は、前項第三号の規定による勧告に基づき講じた施策について政策委員会に報告しなければならない。

(政策委員会の組織及び運営)

第三十三条  政策委員会は、委員三十人以内で組織する。

2  政策委員会の委員は、障害者、障害者の自立及び社会参加に関する事業に従事する者並びに学識経験のある者のうちから、内閣総理大臣が任命する。 この場合において、委員の構成については、政策委員会が様々な障害者の意見を聴き障害者の実情を踏まえた調査審議を行うことができることとなるよう、配慮されなければならない。

3  政策委員会の委員は、非常勤とする。

第三十四条  政策委員会は、その所掌事務を遂行するため必要があると認めるときは、関係行政機関の長に対し、資料の提出、意見の表明、説明その他必要な協力を求めることができる。

2  政策委員会は、その所掌事務を遂行するため特に必要があると認めるときは、前項に規定する者以外の者に対しても、必要な協力を依頼することができる。

第三十五条  前二条に定めるもののほか、政策委員会の組織及び運営に関し必要な事項は、政令で定める。

(都道府県等における合議制の機関)

第三十六条  都道府県(地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百五十二条の十九第一項の指定都市(以下「指定都市」という。)を含む。以下同じ。)に、次に掲げる事務を処理するため、審議会その他の合議制の機関を置く。

一  都道府県障害者計画に関し、第十一条第五項(同条第九項において準用する場合を含む。)に規定する事項を処理すること。

二  当該都道府県における障害者に関する施策の総合的かつ計画的な推進について必要な事項を調査審議し、及びその施策の実施状況を監視すること。

三  当該都道府県における障害者に関する施策の推進について必要な関係行政機関相互の連絡調整を要する事項を調査審議すること。

2  前項の合議制の機関の委員の構成については、当該機関が様々な障害者の意見を聴き障害者の実情を踏まえた調査審議を行うことができることとなるよう、配慮されなければならない。

3  前項に定めるもののほか、第一項の合議制の機関の組織及び運営に関し必要な事項は、条例で定める。

4  市町村(指定都市を除く。)は、条例で定めるところにより、次に掲げる事務を処理するため、審議会その他の合議制の機関を置くことができる。

一  市町村障害者計画に関し、第十一条第六項(同条第九項において準用する場合を含む。)に規定する事項を処理すること。

二  当該市町村における障害者に関する施策の総合的かつ計画的な推進について必要な事項を調査審議し、及びその施策の実施状況を監視すること。

三  当該市町村における障害者に関する施策の推進について必要な関係行政機関相互の連絡調整を要する事項を調査審議すること。

5  第二項及び第三項の規定は、前項の規定により合議制の機関が置かれた場合に準用する。

 

 

 

 

障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(平成二十五年法律第六十五号)

施行日:

平成二十八年四月一日

(平成28年4月1日(基準日)現在のデータ)

未施行あり

目次

本則

第一章 総則

第一条(目的)

第二条(定義)

第三条(国及び地方公共団体の責務)

第四条(国民の責務)

第五条(社会的障壁の除去の実施についての必要かつ合理的な配慮に関する環境の整備)

第二章 障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本方針

第六条

第三章 行政機関等及び事業者における障害を理由とする差別を解消するための措置

第七条(行政機関等における障害を理由とする差別の禁止)

第八条(事業者における障害を理由とする差別の禁止)

第九条(国等職員対応要領)

第十条(地方公共団体等職員対応要領)

第十一条(事業者のための対応指針)

第十二条(報告の徴収並びに助言、指導及び勧告)

第十三条(事業主による措置に関する特例)

第四章 障害を理由とする差別を解消するための支援措置

第十四条(相談及び紛争の防止等のための体制の整備)

第十五条(啓発活動)

第十六条(情報の収集、整理及び提供)

第十七条(障害者差別解消支援地域協議会)

第十八条(協議会の事務等)

第十九条(秘密保持義務)

第二十条(協議会の定める事項)

第五章 雑則

第二十一条(主務大臣)

第二十二条(地方公共団体が処理する事務)

第二十三条(権限の委任)

第二十四条(政令への委任)

第六章 罰則

第二十五条

第二十六条

附 則

平成二十五年法律第六十五号

障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律

目次

第一章 総則(第一条―第五条)

第二章 障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本方針(第六条)

第三章 行政機関等及び事業者における障害を理由とする差別を解消するための措置(第七条―第十三条)

第四章 障害を理由とする差別を解消するための支援措置(第十四条―第二十条)

第五章 雑則(第二十一条―第二十四条)

第六章 罰則(第二十五条・第二十六条)

附則

第一章 総則

(目的)

第一条 この法律は、障害者基本法(昭和四十五年法律第八十四号)の基本的な理念にのっとり、全ての障害者が、障害者でない者と等しく、基本的人権を享有する個人としてその尊厳が重んぜられ、その尊厳にふさわしい生活を保障される権利を有することを踏まえ、障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本的な事項、行政機関等及び事業者における障害を理由とする差別を解消するための措置等を定めることにより、障害を理由とする差別の解消を推進し、もって全ての国民が、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に資することを目的とする。

(定義)

第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

一 障害者 身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む。)その他の心身の機能の障害(以下「障害」と総称する。)がある者であって、障害及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるものをいう。

二 社会的障壁 障害がある者にとって日常生活又は社会生活を営む上で障壁となるような社会における事物、制度、慣行、観念その他一切のものをいう。

三 行政機関等 国の行政機関、独立行政法人等、地方公共団体(地方公営企業法(昭和二十七年法律第二百九十二号)第三章の規定の適用を受ける地方公共団体の経営する企業を除く。第七号、第十条及び附則第四条第一項において同じ。)及び地方独立行政法人をいう。

四 国の行政機関 次に掲げる機関をいう。

イ 法律の規定に基づき内閣に置かれる機関(内閣府を除く。)及び内閣の所轄の下に置かれる機関

ロ 内閣府、宮内庁並びに内閣府設置法(平成十一年法律第八十九号)第四十九条第一項及び第二項に規定する機関(これらの機関のうちニの政令で定める機関が置かれる機関にあっては、当該政令で定める機関を除く。)

ハ 国家行政組織法(昭和二十三年法律第百二十号)第三条第二項に規定する機関(ホの政令で定める機関が置かれる機関にあっては、当該政令で定める機関を除く。)

ニ 内閣府設置法第三十九条及び第五十五条並びに宮内庁法(昭和二十二年法律第七十号)第十六条第二項の機関並びに内閣府設置法第四十条及び第五十六条(宮内庁法第十八条第一項において準用する場合を含む。)の特別の機関で、政令で定めるもの

ホ 国家行政組織法第八条の二の施設等機関及び同法第八条の三の特別の機関で、政令で定めるもの

ヘ 会計検査院

五 独立行政法人等 次に掲げる法人をいう。

イ 独立行政法人(独立行政法人通則法(平成十一年法律第百三号)第二条第一項に規定する独立行政法人をいう。ロにおいて同じ。)

ロ 法律により直接に設立された法人、特別の法律により特別の設立行為をもって設立された法人(独立行政法人を除く。)又は特別の法律により設立され、かつ、その設立に関し行政庁の認可を要する法人のうち、政令で定めるもの

六 地方独立行政法人 地方独立行政法人法(平成十五年法律第百十八号)第二条第一項に規定する地方独立行政法人(同法第二十一条第三号に掲げる業務を行うものを除く。)をいう。

七 事業者 商業その他の事業を行う者(国、独立行政法人等、地方公共団体及び地方独立行政法人を除く。)をいう。

(国及び地方公共団体の責務)

第三条 国及び地方公共団体は、この法律の趣旨にのっとり、障害を理由とする差別の解消の推進に関して必要な施策を策定し、及びこれを実施しなければならない。

(国民の責務)

第四条 国民は、第一条に規定する社会を実現する上で障害を理由とする差別の解消が重要であることに鑑み、障害を理由とする差別の解消の推進に寄与するよう努めなければならない。

(社会的障壁の除去の実施についての必要かつ合理的な配慮に関する環境の整備)

第五条 行政機関等及び事業者は、社会的障壁の除去の実施についての必要かつ合理的な配慮を的確に行うため、自ら設置する施設の構造の改善及び設備の整備、関係職員に対する研修その他の必要な環境の整備に努めなければならない。

第二章 障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本方針

第六条 政府は、障害を理由とする差別の解消の推進に関する施策を総合的かつ一体的に実施するため、障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本方針(以下「基本方針」という。)を定めなければならない。

2 基本方針は、次に掲げる事項について定めるものとする。

一 障害を理由とする差別の解消の推進に関する施策に関する基本的な方向

二 行政機関等が講ずべき障害を理由とする差別を解消するための措置に関する基本的な事項

三 事業者が講ずべき障害を理由とする差別を解消するための措置に関する基本的な事項

四 その他障害を理由とする差別の解消の推進に関する施策に関する重要事項

3 内閣総理大臣は、基本方針の案を作成し、閣議の決定を求めなければならない。

4 内閣総理大臣は、基本方針の案を作成しようとするときは、あらかじめ、障害者その他の関係者の意見を反映させるために必要な措置を講ずるとともに、障害者政策委員会の意見を聴かなければならない。

5 内閣総理大臣は、第三項の規定による閣議の決定があったときは、遅滞なく、基本方針を公表しなければならない。

6 前三項の規定は、基本方針の変更について準用する。

第三章 行政機関等及び事業者における障害を理由とする差別を解消するための措置

(行政機関等における障害を理由とする差別の禁止)

第七条 行政機関等は、その事務又は事業を行うに当たり、障害を理由として障害者でない者と不当な差別的取扱いをすることにより、障害者の権利利益を侵害してはならない。

2 行政機関等は、その事務又は事業を行うに当たり、障害者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合において、その実施に伴う負担が過重でないときは、障害者の権利利益を侵害することとならないよう、当該障害者の性別、年齢及び障害の状態に応じて、社会的障壁の除去の実施について必要かつ合理的な配慮をしなければならない。

(事業者における障害を理由とする差別の禁止)

第八条 事業者は、その事業を行うに当たり、障害を理由として障害者でない者と不当な差別的取扱いをすることにより、障害者の権利利益を侵害してはならない。

2 事業者は、その事業を行うに当たり、障害者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合において、その実施に伴う負担が過重でないときは、障害者の権利利益を侵害することとならないよう、当該障害者の性別、年齢及び障害の状態に応じて、社会的障壁の除去の実施について必要かつ合理的な配慮をするように努めなければならない。

(国等職員対応要領)

第九条 国の行政機関の長及び独立行政法人等は、基本方針に即して、第七条に規定する事項に関し、当該国の行政機関及び独立行政法人等の職員が適切に対応するために必要な要領(以下この条及び附則第三条において「国等職員対応要領」という。)を定めるものとする。

2 国の行政機関の長及び独立行政法人等は、国等職員対応要領を定めようとするときは、あらかじめ、障害者その他の関係者の意見を反映させるために必要な措置を講じなければならない。

3 国の行政機関の長及び独立行政法人等は、国等職員対応要領を定めたときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。

4 前二項の規定は、国等職員対応要領の変更について準用する。

(地方公共団体等職員対応要領)

第十条 地方公共団体の機関及び地方独立行政法人は、基本方針に即して、第七条に規定する事項に関し、当該地方公共団体の機関及び地方独立行政法人の職員が適切に対応するために必要な要領(以下この条及び附則第四条において「地方公共団体等職員対応要領」という。)を定めるよう努めるものとする。

2 地方公共団体の機関及び地方独立行政法人は、地方公共団体等職員対応要領を定めようとするときは、あらかじめ、障害者その他の関係者の意見を反映させるために必要な措置を講ずるよう努めなければならない。

3 地方公共団体の機関及び地方独立行政法人は、地方公共団体等職員対応要領を定めたときは、遅滞なく、これを公表するよう努めなければならない。

4 国は、地方公共団体の機関及び地方独立行政法人による地方公共団体等職員対応要領の作成に協力しなければならない。

5 前三項の規定は、地方公共団体等職員対応要領の変更について準用する。

(事業者のための対応指針)

第十一条 主務大臣は、基本方針に即して、第八条に規定する事項に関し、事業者が適切に対応するために必要な指針(以下「対応指針」という。)を定めるものとする。

2 第九条第二項から第四項までの規定は、対応指針について準用する。

(報告の徴収並びに助言、指導及び勧告)

第十二条 主務大臣は、第八条の規定の施行に関し、特に必要があると認めるときは、対応指針に定める事項について、当該事業者に対し、報告を求め、又は助言、指導若しくは勧告をすることができる。

(事業主による措置に関する特例)

第十三条 行政機関等及び事業者が事業主としての立場で労働者に対して行う障害を理由とする差別を解消するための措置については、障害者の雇用の促進等に関する法律(昭和三十五年法律第百二十三号)の定めるところによる。

第四章 障害を理由とする差別を解消するための支援措置

(相談及び紛争の防止等のための体制の整備)

第十四条 国及び地方公共団体は、障害者及びその家族その他の関係者からの障害を理由とする差別に関する相談に的確に応ずるとともに、障害を理由とする差別に関する紛争の防止又は解決を図ることができるよう必要な体制の整備を図るものとする。

(啓発活動)

第十五条 国及び地方公共団体は、障害を理由とする差別の解消について国民の関心と理解を深めるとともに、特に、障害を理由とする差別の解消を妨げている諸要因の解消を図るため、必要な啓発活動を行うものとする。

(情報の収集、整理及び提供)

第十六条 国は、障害を理由とする差別を解消するための取組に資するよう、国内外における障害を理由とする差別及びその解消のための取組に関する情報の収集、整理及び提供を行うものとする。

(障害者差別解消支援地域協議会)

第十七条 国及び地方公共団体の機関であって、医療、介護、教育その他の障害者の自立と社会参加に関連する分野の事務に従事するもの(以下この項及び次条第二項において「関係機関」という。)は、当該地方公共団体の区域において関係機関が行う障害を理由とする差別に関する相談及び当該相談に係る事例を踏まえた障害を理由とする差別を解消するための取組を効果的かつ円滑に行うため、関係機関により構成される障害者差別解消支援地域協議会(以下「協議会」という。)を組織することができる。

2 前項の規定により協議会を組織する国及び地方公共団体の機関は、必要があると認めるときは、協議会に次に掲げる者を構成員として加えることができる。

一 特定非営利活動促進法(平成十年法律第七号)第二条第二項に規定する特定非営利活動法人その他の団体

二 学識経験者

三 その他当該国及び地方公共団体の機関が必要と認める者

(協議会の事務等)

第十八条 協議会は、前条第一項の目的を達するため、必要な情報を交換するとともに、障害者からの相談及び当該相談に係る事例を踏まえた障害を理由とする差別を解消するための取組に関する協議を行うものとする。

2 関係機関及び前条第二項の構成員(次項において「構成機関等」という。)は、前項の協議の結果に基づき、当該相談に係る事例を踏まえた障害を理由とする差別を解消するための取組を行うものとする。

3 協議会は、第一項に規定する情報の交換及び協議を行うため必要があると認めるとき、又は構成機関等が行う相談及び当該相談に係る事例を踏まえた障害を理由とする差別を解消するための取組に関し他の構成機関等から要請があった場合において必要があると認めるときは、構成機関等に対し、相談を行った障害者及び差別に係る事案に関する情報の提供、意見の表明その他の必要な協力を求めることができる。

4 協議会の庶務は、協議会を構成する地方公共団体において処理する。

5 協議会が組織されたときは、当該地方公共団体は、内閣府令で定めるところにより、その旨を公表しなければならない。

(秘密保持義務)

第十九条 協議会の事務に従事する者又は協議会の事務に従事していた者は、正当な理由なく、協議会の事務に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。

(協議会の定める事項)

第二十条 前三条に定めるもののほか、協議会の組織及び運営に関し必要な事項は、協議会が定める。

第五章 雑則

(主務大臣)

第二十一条 この法律における主務大臣は、対応指針の対象となる事業者の事業を所管する大臣又は国家公安委員会とする。

(地方公共団体が処理する事務)

第二十二条 第十二条に規定する主務大臣の権限に属する事務は、政令で定めるところにより、地方公共団体の長その他の執行機関が行うこととすることができる。

(権限の委任)

第二十三条 この法律の規定により主務大臣の権限に属する事項は、政令で定めるところにより、その所属の職員に委任することができる。

(政令への委任)

第二十四条 この法律に定めるもののほか、この法律の実施のため必要な事項は、政令で定める。

第六章 罰則

第二十五条 第十九条の規定に違反した者は、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

第二十六条 第十二条の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者は、二十万円以下の過料に処する。]

 

 

精神保健及び精神障害者福祉に関する法律施行令

昭和二十五年五月二十三日政令第百五十五号

第六条  法第四十五条第二項に規定する政令で定める精神障害の状態は、第三項に規定する障害等級に該当する程度のものとする。

2  精神障害者保健福祉手帳には、次項に規定する障害等級を記載するものとする。

3  障害等級は、障害の程度に応じて重度のものから一級、二級及び三級とし、各級の障害の状態は、それぞれ次の表の下欄に定めるとおりとする。

障害等級

精神障害の状態

一級

日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの

二級

日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの

三級

日常生活若しくは社会生活が制限を受けるか、又は日常生活若しくは社会生活に制限を加えることを必要とする程度のもの

 

 

 

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