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2024年04月18日
会社法の令和元年改正4-1 第4部 社債の管理に関する規律の見直し

第4部 社債の管理に関する規律の見直し

社債の管理に関して新たな規律が加わりました。主な改正点は、以下の2点です。

①社債管理補助者制度の創設

②債権者集会における債務免除に関する規律の変更

 

第1章 社債管理者補助者制度の創設

1,改正

社債管理補助者制度の創設(①)について解説します。

会社法上、社債を発行する場合には、社債管理者を定めたうえで社債管理を委託することが原則ですが(702条本文)、各社債の金額が1億円以上である場合、又はある種類の社債の総額を当該種類の各社債金額の最低額で除した数が50未満である場合には、その設置を免除されます(会社法第702条但書。以下「例外要件」といいます。)。実務上は、社債管理者(銀行や信託会社などに限定される)のなり手の確保やコストの問題から、例外要件を満たすように社債を設計するケースが多くなっています。

 

今回の改正で、例外要件を満たすような社債に関して、「社債管理補助者」を置くことができるものとされました(改正法第714条の2)。「社債管理者」がおかれる場合は、社債管理者が社債権者のために各種権利行使を含む包括的な管理を行いますが、社債管理補助者は、社債権者が自ら社債の管理をすることを前提に、その補助を行う役割となります。そのため、社債管理者となれる者よりもその資格は広く規定され(弁護士及び弁護士法人も社債管理補助者になることができる。改正施行規則第171条の2)、その権限は社債管理者よりも限定されることになります。

社債管理補助者については、改正法714条の2以下にその資格、権限等が規定されています。

 

社債管理補助者を置くか否かは社債を発行する会社の判断であり、どの程度制度が普及するかは今後の動向を見ることになりますが、非上場会社では必要なケースは多く想定されづらいため、主に上場会社に関係する改正事項と考えられます。

 

社債管理者と社債管理補助者の違いについて、法制審議会会社法制(企業統治等関係)部会資料において、 以下のように社債管理者と社債管理保護者の違いを説明しています。

 

社債管理者制度は,第三者である社債管理者が社債権者のために社債の管理を行う制度であり, 社債管理者は,社債の管理に必要な権限を包括的に有し,広い裁量をもってそれを行使することが求められている。 他方で,社債管理補助者制度は,第三者である社債管理補助者が,破産債権としての届出をしたり(略),社債権者から の請求を受けて社債権者集会の招集をする(略)ことなどにより,社債権者による社債権者集会の決議等を通じた社債の 管理が円滑に行われるように補助する制度と位置付け,社債管理補助者は,社債管理者よりも裁量の余地の乏しい限定された 権限のみを有するものとすることが考えられる。

 

引用元│法制審議会会社法制(企業統治等関係)部会第7回会議(平成29年11月1日開催)資料11

 

この説明からわかるように、社債管理者と社債管理補助者との大きな違いは権限の大きさの違いです。

 

社債管理者については、705条1項において「社債権者のために社債に係る債権の弁済を受け、又は社債に係る債権の実現を保全するために 必要な一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を有する」とされています。

 

一方で、社債管理補助者は、あくまで改正法714条の4に掲げられた行為、たとえば破産等の倒産手続への参加、執行における配当要求や、 委託を受けた契約の範囲内において、705条の掲げる行為を行うことができます。

また、社債権者集会の決議がなければできない行為の範囲も広く(改正法704条の4第3項参照)、やはり権限が社債管理者と比べると狭いものとなっています。

 

なお、社債管理者が新たに委託された場合、社債管理補助者への委託契約は当然に終了するものとされています(改正法704条の6)。

 

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