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2024年04月01日
特許法の令和2年改正その7終 第7章 損害賠償額算定方法の見直し

第7章 損害賠償額算定方法の見直し

損害賠償額のうち、特に「ライセンス料相当額」についての見直しが行われました。これは、特許権の侵害者が得た利益のうち、特許権者の生産能力を超えるとして賠償が否定されていた部分です。

 

中小企業やベンチャー企業のように規模の小さい企業の生産・販売能力は、それほど大きくありません。場合によっては、はるかに大きな生産・販売能力を持つ企業が特許侵害品を販売し、莫大な利益を得る可能性があります。この改正によって、権利者の生産・販売能力を超える部分のうちライセンス料に相当する部分も、損害賠償額に組み込まれることになりました。

 

・損害賠償の算定をめぐる不満

損害賠償額の認定については、平成27年度に特許庁が調査したところ、主に、特許権者から不満の意見が寄せられていました。

 

参考│ 平成27年度 特許庁産業財産権制度問題調査研究報告書「知財紛争処理システムの活性化に資する特許制度・運用に関する調査研究」

 

また、特許法102条(損害賠償額の推定等)の解釈をめぐって、裁判例と学説との間で見解の対立がありました。 そのため、損害賠償額の認定プロセスと基準について、もっと明確に定めてほしい、といった意見もありました。

 

 

特許権侵害の被害者(特許権者)にとって、もっと納得を得られる制度にする必要があった。

 

(損害の額の推定等)

第百二条 特許権者又は専用実施権者が故意又は過失により自己の特許権又は専用実施権を侵害した者に対しその侵害により自己が受けた損害の賠償を請求する場合において、その者がその侵害の行為を組成した物を譲渡したときは、次の各号に掲げる額の合計額を、特許権者又は専用実施権者が受けた損害の額とすることができる。

一 特許権者又は専用実施権者がその侵害の行為がなければ販売することができた物の単位数量当たりの利益の額に、自己の特許権又は専用実施権を侵害した者が譲渡した物の数量(次号において「譲渡数量」という。)のうち当該特許権者又は専用実施権者の実施の能力に応じた数量(同号において「実施相応数量」という。)を超えない部分(その全部又は一部に相当する数量を当該特許権者又は専用実施権者が販売することができないとする事情があるときは、当該事情に相当する数量(同号において「特定数量」という。)を控除した数量)を乗じて得た額

二 譲渡数量のうち実施相応数量を超える数量又は特定数量がある場合(特許権者又は専用実施権者が、当該特許権者の特許権についての専用実施権の設定若しくは通常実施権の許諾又は当該専用実施権者の専用実施権についての通常実施権の許諾をし得たと認められない場合を除く。)におけるこれらの数量に応じた当該特許権又は専用実施権に係る特許発明の実施に対し受けるべき金銭の額に相当する額

2 特許権者又は専用実施権者が故意又は過失により自己の特許権又は専用実施権を侵害した者に対しその侵害により自己が受けた損害の賠償を請求する場合において、その者がその侵害の行為により利益を受けているときは、その利益の額は、特許権者又は専用実施権者が受けた損害の額と推定する。

3 特許権者又は専用実施権者は、故意又は過失により自己の特許権又は専用実施権を侵害した者に対し、その特許発明の実施に対し受けるべき金銭の額に相当する額の金銭を、自己が受けた損害の額としてその賠償を請求することができる。

4 裁判所は、第一項第二号及び前項に規定する特許発明の実施に対し受けるべき金銭の額に相当する額を認定するに当たつては、特許権者又は専用実施権者が、自己の特許権又は専用実施権に係る特許発明の実施の対価について、当該特許権又は専用実施権の侵害があつたことを前提として当該特許権又は専用実施権を侵害した者との間で合意をするとしたならば、当該特許権者又は専用実施権者が得ることとなるその対価を考慮することができる。

5 第三項の規定は、同項に規定する金額を超える損害の賠償の請求を妨げない。この場合において、特許権又は専用実施権を侵害した者に故意又は重大な過失がなかつたときは、裁判所は、損害の賠償の額を定めるについて、これを参酌することができる。

 

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