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2024年02月21日
特許法の令和3律改正その4 第5章 2|海外からの模倣品流入への規制強化

第5章 2|海外からの模倣品流入への規制強化

現行商標法によれば、商標権侵害品の個人輸入は、輸入する個人については「業として」(商標法2条1項各号)なされるものではないため、商標権侵害を構成しないと解されています(小野昌延・三山峻司編『新・注解 商標法(上巻)』青林書院、2016年、98頁)。

 

また、商標の「使用」の一類型である「輸入」とは、「外国から本邦に到着した貨物…又は輸出の許可を受けた貨物を本邦に…引き取ること」(関税法2条1項1号)をいうと解されているところ、海外事業者が、国内の個人に対して模倣品を直接販売・送付する行為が商標権侵害を構成するかどうかは現行法上明らかでないといわれています(産業構造審議会・知的財産分科会・特許制度小委員会「ウィズコロナ/ポストコロナ時代における特許制度の在り方」49頁以下)。

 

そうすると、現行法上、個人輸入目的で模倣品を輸入する行為は商標権侵害を問えないのではないかという疑問がありました。また、意匠法についても同様の問題がありました。電子商取引による個人宛輸入の増加(≒侵害貨物の小口化)という近年の傾向を踏まえると、現行法の規定では権利者の保護が不十分だったといわざるを得ないでしょう。

 

そこで、本改正では、海外事業者による模倣品(商標権/意匠権侵害品)輸入行為が商標権/意匠権侵害となることが明確化されました。今後は、模倣品が個人輸入される場合については税関での水際差止めを中心として対応することが予想されます。

 

改正点

【改正商標法2条7項】※黄色マーカーは改正箇所

この法律において、輸入する行為には、外国にある者が外国から日本国内に他人をして持ち込ませる行為が含まれるものとする。

 

【改正意匠法2条2項1号】※※黄色マーカーは改正箇所

意匠に係る物品の製造、使用、譲渡、貸渡し、輸出若しくは輸入(外国にある者が外国から日本国内に他人をして持ち込ませる行為を含む。以下同じ。)又は譲渡若しくは貸渡しの申出(譲渡又は貸渡しのための展示を含む。以下同じ。)をする行為

 

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