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2023年02月18日
職業安定法44条により禁止される労働者供給に該当しないとされた例


職業安定法44条により禁止される労働者供給に該当しないとされた例

テーマ:労働法
東京高等裁判所判決平成30年2月7日

凸版物流、フルキャスト事件

損害賠償請求控訴事件

【判示事項】 1 控訴人(1審原告)Xと被控訴人(1審被告)Y1社らとの関係は,労働者派遣に該当するものであり,派遣元である被控訴人(1審被告)Y2社が,派遣労働者であるXに対し,就業条件をまったく示さなかったとか,示した就業条件が派遣先での実際の就業条件とおよそ異なっていたような事情は認められないから,職業安定法44条により禁止される労働者供給に該当しないとされた例

2 Y1社らによるXの1日単位の雇用は,労働者派遣法の改正(平成24年法律第27号)により禁じられた日雇派遣(同改正後の34条の4第1項)の脱法であって,違法であるとまでいうことはできないとされた例

3 Y1社らについて職安法44条違反の事実は認められないので,Xが受けるべき賃金から中間搾取を行ったことが労基法6条に違反し,不法行為を構成するとのXの主張はその前提を欠いているとされた例

4 Xら就業者は,不安定な雇用の立場により,不本意ながら即給サービスを利用せざるを得ない立場にあるといえ,現に約45パーセントに及ぶ就業者が即給サービスを利用しているのであるから,Xら就業者の同意があるとしても,それが労働者の自由な意思に基づいてされたものであると認めるに足る合理的理由が客観的に存在する場合に当たらず,Xの賃金から即給サービスの利用手数料を控除することは,労基法24条1項に違反するとともに,Y1社らの共同不法行為が成立するとして,1審判決が変更された例

5 XがY2社および被控訴人(1審被告)Y1社との間で締結した労働契約が,待機中20分間重複したことは,労働者供給として職安法44条違反に該当するが,Xに法律上の不利益が生じていたとは認められないとして,上記待機が人格権侵害にはならないとされた例

6 Y2社がXを中途解雇したことが,Xに対する違法な侵害行為として不法行為を構成するとまでいうことは困難であるとされた例

7 Y2社による就業時間の1方的な変更,短縮および深夜の1方的な待ち合わせ時間の変更通知について,Xに対する違法な侵害行為として不法行為を構成するとまでいうことは困難であるとされた例

8 XがY1社での現場待機後の不採用についてY2社に抗議等したことにつき,Y2社において,Xに対するY1社での就業の紹介を差し控えたことは,合理的な理由があるといえるが,Y1社の現場待機の仕組みは,Y1社に特有なものであるから,Y2社が,Xに対し,Y1社以外の紹介先に対する職業紹介までをも停止したことは,合理的理由がなく,上記停止は,Xに対する報復とみるのが相当であり,Xに対する違法な侵害行為として不法行為を構成するといわざるを得ず,また,Xに対し,勤務先等の記載のない空の職業案内のメールをY2社が送信したことも,Xに対する嫌がらせとして送信されたと推認するのが相当であり,Xに精神的な苦痛を与えたものとして,不法行為を構成するとして,1審判決が変更された例

【参照条文】 労働基準法24-1

       民法709

       民法710

       民法719

【掲載誌】  判例時報2388号104頁

       労働判例1183号39頁

 

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