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2022年10月01日
関西スーパー事件(株式交換差止仮処分)・抗告審

関西スーパー事件(株式交換差止仮処分)・抗告審

株式交換差止等仮処分命令申立事件

 

[保全抗告審]

仮処分命令認可決定に対する保全抗告事件

【事件番号】      大阪高等裁判所決定/令和3年(ラ)第1327号

【判決日付】      令和3年12月7日

【判示事項】      スーパーマーケットを経営する会社(本件会社)の株主が,本件会社が開催した臨時株主総会でされた本件会社と他2社との各株式交換に係る議案を承認した決議は,賛成として取り扱うことができない株主(本件株主)の議決権行使を賛成として取り扱うことにより成立したものであり,本件株主の議決権行使を賛成として取り扱わなければ議案は可決要件を満たさないから,決議の方法の法令違反かつ著しい不公正があるなどと主張して,株式交換差止請求権に基づき,各株式交換の仮の差止めを求めたが,これを認容した仮処分決定を認可した原決定を不服とする抗告審において,議長が議場で白紙で投票用紙を提出した本件株主の投票を賛成票として取り扱ったことは,本件株主において事前の議決権行使が撤回されていないと誤認したことがやむを得ず,誤認のために投票に込められた投票時の本件株主の意思(賛成)が投票用紙(棄権)と異なっていたことが明確に認められるから,なお許容されるというべきであり,したがって,上記総会の決議の方法が法令に違反するとも,著しく不公正であるともいえないとして,原決定を取り消し,仮処分決定を取り消した上,仮処分申立てを却下した事例

【掲載誌】        LLI/DB 判例秘書登載

【評釈論文】      ジュリスト1567号2頁

             ジュリスト1573号133頁

             銀行法務21 881号68頁

             法学教室499号103頁

 

       主   文

 

 1 原決定を取り消す。

 2 神戸地方裁判所令和3年(ヨ)第248号株式交換差止等仮処分命令申立事件について,同裁判所が令和3年11月22日にした仮処分決定を取り消す。

 3 相手方の上記仮処分命令の申立てを却下する。

 4 手続費用は,原審(発令段階を含む。)及び当審を通じて,相手方の負担とする。

 

       理   由

 

第1 抗告の趣旨及び理由等

 1 抗告の趣旨

   主文同旨

 2 抗告の理由及び相手方の反論

   抗告の理由は,「抗告理由書」,「抗告人第一主張書面」及び「抗告人第二主張書面」を引用する。

   抗告の理由に対する相手方の反論は,「答弁書」及び「相手方主張書面(1)」を引用する。

第2 事案の概要(以下,特記しない限り,略語については原決定の例による。)

 1 事案の要旨

   基本事件は,抗告人の株主である相手方が,抗告人とイズミヤ及び阪急オアシスとの間の令和3年12月1日を効力発生日とする株式交換(本件各株式交換)につき,同年10月29日に開催された抗告人の臨時株主総会(本件総会)において,これを承認する旨の決議(本件決議)がされたが,本件決議には,決議の方法の法令違反かつ著しい不公正という決議の取消事由(会社法831条1項1号)があり,これにより抗告人の株主が不利益を受けるおそれ(会社法796条の2柱書本文)があると主張して,抗告人に対する同法796条の2第1号に基づく株式交換差止請求権を被保全権利として,本件各株式交換の仮の差止めを求めた事案である。神戸地方裁判所は,相手方の申立てを相当と認め,相手方に1億5000万円の担保を立てさせて,同年11月22日,これらを認容する決定(以下「本件仮処分決定」という。)をした。抗告人は,同月24日,保全異議の申立てをして,本件仮処分決定の取消しを求めたが,原審裁判所は,本件仮処分決定を認可する旨の決定をした(以下「原決定」という。)。

   これに対し,抗告人は,原決定を不服として本件保全抗告をした。

   なお,抗告人は,原決定を受け,同月26日,イズミヤ及び阪急オアシスとの間で,本件各株式交換につき,効力発生日を同年12月1日から同月15日に変更する旨の合意をした。

 

 

 

最高裁

【判例番号】      L07610169

【事件番号】      最高裁判所第2小法廷決定/令和3年(許)第18号

【判決日付】      令和3年12月14日

【掲載誌】        LLI/DB 判例秘書登載

【評釈論文】      法学セミナー67巻8号122頁

 

       主   文

 

 本件抗告を棄却する。

 抗告費用は抗告人の負担とする。

 

       理   由

 

 抗告代理人Aほかの抗告理由について

 本件において問題とされている議決権行使者の意思が議案に賛成するものであることが明確であったこと等,原審の適法に確定した事実関係の下では,所論の点に関する原審の判断は結論において是認することができる。論旨は採用することができない。

 よって,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり決定する。

  令和3年12月14日

    最高裁判所第二小法廷

        裁判長裁判官  菅野博之

           裁判官  三浦 守

           裁判官  草野耕一

           裁判官  岡村和美

 

 

 

[参考、第1審]

[仮処分命令]

【判例番号】      L07651318

             株式交換差止等仮処分命令申立事件

【事件番号】      神戸地方裁判所決定/令和3年(ヨ)第248号

【判決日付】      令和3年11月22日

【掲載誌】        LLI/DB 判例秘書登載

 

       主   文

 

 1 債務者が令和3年10月29日の株主総会決議に基づいてA株式会社との間で行おうとしている,債務者を完全親会社とし,A株式会社を完全子会社とする株式交換を仮に差し止める。

 2 債務者が令和3年10月29日の株主総会決議に基づいて株式会社Bとの間で行おうとしている,債務者を完全親会社とし,株式会社Bを完全子会社とする株式交換を仮に差し止める。

 3 申立費用は,債務者の負担とする。

 

 

 

[保全異議]

株式交換差止等仮処分命令申立事件

【事件番号】      神戸地方裁判所決定/令和3年(モ)第7036号

【判決日付】      令和3年11月26日

【判示事項】      債務者の株主である債権者の債務者に対する株式交換差止仮処分命令申立事件における認容決定に対して債務者が保全異議の申立てをした事案。裁判所は,債務者の株主総会での株式交換契約の承認決議には,決議の方法の法令違反又は著しく不公正なときという瑕疵があり,株式交換の取消事由としての法令違反が認められ,債権者保有株の株式保有割合は,約7.69%から約3.62%に低下し,その低下は,債務者の株主総会における株主らの議決権割合を低下させるものと認められ,債務者の株主には,株式交換により自らの望む株主総会決議の可決の可能性の低下という不利益を受けるおそれが生じたものと認められるから,保全の必要性も認められるとして,仮処分決定を認可した事例

【掲載誌】        LLI/DB 判例秘書登載

 

       主   文

 

 1 債権者と債務者との間の神戸地方裁判所令和3年(ヨ)第248号株式交換差止等仮処分命令申立事件について,同裁判所が令和3年11月22日にした仮処分決定を認可する。

 2 申立費用は債務者の負担とする。

 

 

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