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2022年03月26日
『労働者の人格権・プライバシーに関する裁判例』をアマゾンで出版しました。

労働者の人格権・プライバシーに関する裁判例を網羅しています。

目次

第1部 思想良心の自由

第1章  三菱樹脂事件

第2章  営業所長が、女子職員に対し、共産党員か否かを問い質し、かつ、共産党員でない旨を書面にして提出するよう求めた行為は、相当とはいい難い面もあるが、右職員の精神的自由を侵害した違法行為であるとまでは言えないとされた例

第3章  公立高等学校の校長が教諭に対し卒業式における国歌斉唱の際に国旗に向かって起立し国歌を斉唱することを命じた職務命令が憲法19条に違反しないとされた事例

第4章  私立高校教員の授業内容を無断で録音し、その左翼偏向等を理由とする解雇が、無効とされた事例

第5章  国鉄主催の「青年職員研修会」が右の如き研修会であり、思想の強要にあたらず、マル生運動等不当労働行為意思にもとづかないとされた事例

第6章  会社が従業員に対してした賃金関係の低い処遇について、特定の思想信条を有することを理由のひとつとして行なわれた差別にあたり違法とされた事例

第2部 私生活の非行

第1章  夜半他人の居宅に故なく入り込み住居侵入罪として処罰されたことが懲戒解雇事由にあたらないとされた事例

第2章  日本国有鉄道法31条1項1号に基づき懲戒事由を定めた日本国有鉄道就業規則66条17号にいう「著しく不都合な行い」には、日本国有鉄道の社会的評価を低下毀損するおそれがあると客観的に認められる職場外の職務遂行に関係のない行為で著しく不都合なものと評価されるものをも包含する。

第3章  懲戒解雇事由である「不名誉な行為をして会社の体面を著しく汚したとき」にあたらないとされた事例

第4章  日本電信電話公社が、社員としての採用を内定したのち、その者が反戦青年委員会の指導的地位にあって、大阪市公安条例等違反の現行犯として逮捕され、起訴猶予処分を受ける程度の違法行為をしたことが判明したとして留保解約権に基づく採用内定を取り消すことは、解約権留保の趣旨、目的に照らして社会通念上相当として是認することができ、解約権の行使は有効である。

第5章  電鉄会社の職員について、痴漢行為で刑事処罰を受けたことを理由とする懲戒解雇は有効であるが、退職金については、その全額を不支給とすることは許されず、その3割を支給すべきであるとされた事例

第6章  被告から懲戒解雇された原告が,被告に対し,退職金及び遅延損害金の支払を求めた事案について,飲酒,酒気帯び運転を理由とする懲戒解雇は適法であるが,原告の行為は,長年の勤続の功労を全く失わせる程度の著しい背信行為とまではいえないから,就業規則の規定にかかわらず,原告は退職金請求権の一部を失わないとして,認定した金額の限度で請求を認容した事例

第7章  非違行為発覚後の合意退職の場合であっても,任命責任者が辞職を承認するか否かを判断するまでに事案の審査を了することができなかった場合には,辞職を承認したからといって,懲戒解雇または諭旨解雇に該当しないと認められたとはいえず,控訴人(1審被告)Y社は,懲戒処分についての判断を留保したうえで,被控訴人(1審原告)Xの辞職を承認するとの判断をしたものと認めるのが相当とされた例

第8章  郵便事業会社の従業員が、酒気帯び運転等により逮捕され罰金刑に処せられたことを理由とする懲戒解雇が有効とされた事例

第9章  痴漢行為について起訴されたかどうかだけを基準として懲戒処分を決定し,当該痴漢行為の具体的な態様や悪質性,当該従業員の地位,当該従業員が当該痴漢行為について隠ぺい工作をしようとしたかどうか,当該従業員の日頃の勤務態度について考慮しないのは不合理であるとされた例

第10章 原告が被告に対し,退職金の支払を求めた事案。

第3部 労働組合活動

第1章  就業時間外、職場外における労働者のビラ配布を理由とする懲戒(けん責)が許されるとされた事例

第2章  管理者に準ずる地位にある職員が組合員バッジの取外し命令に従わないため点呼執行業務から外して営業所構内の火山灰の除去作業に従事することを命じた業務命令が違法とはいえないとされた事例

第3章  国労マーク入りのベルトを着用して就労した組合員に対し、会社が就業規則の書き写し等を命じたことが労働者の人格権を侵害し、教育訓練に関する業務命令権の裁量の範囲を逸脱する違法なものとして会社側に損害賠償を命じた原審に違法はないとして上告が棄却された例

第4章  被上告人(原告)組合の組合員に新車の割当をしないことに合理的な理由がなく、不当労働行為に該当する不法行為として被上告人らの損害賠償請求を認めた原審判決が維持され、上告が棄却された例

第5章  「共同絶交」の宣言が不法行為を構成し、これを教唆、幇助した会社管理職に損害賠償責任が認められた事例

第6章  組合専従終了後、原職もしくは「同等の職位」に復職させるものとするとの労働協約にもかかわらず、復職させた職務が従前と「同等の職位」とは言えず、不法行為を構成するとして、慰藉料の支払い請求を認容した原判決が維持された例

第7章  バス会社に甲、乙2つの労働組合があり、会社が甲組合員に対してのみ継続的に新車の配付を行ったことが不当労働行為に当たるとして、乙組合及び乙組合員の求めた不法行為に基づく慰謝料請求が認められた事例

第8章  新型車両導入に伴う教育訓練を目的とした時間外労働命令を拒否した第9章    組合員が遺失したノートにつき、拾得物として提出を受けた使用者が遺失物法に基づく警察署長への届出前に一定基間保管し、特段の事情がある場合を除き、遺失者特定のため一定の限度で調査することは、占有者として許される行為であるとされた例

ことを理由とする戒告又は訓告の処分につき、右命令拒否には「正当な理由」が認められず、「正当な理由がなければ、時間外労働命令を拒むことはできない」と定める就業規則の規定に違反することから就業規則所定の懲戒事由に該当し、さらに懲戒権の濫用も認められないとして、各処分の無効確認請求および損害賠償請求が棄却された例

第10章 日勤教育として車両の天井清掃や除草作業を命じられた控訴人X2につき,当該教育には必要性が認められず違法であるとした1審判断を維持したうえで,同人に対する慰謝料が40万円(1審は10万円)に,弁護士費用が10万円(同5万円)に,それぞれ変更された例

第4部 健康診断受診命令

第1章 就業規則が、労働者に対し、一定の事項につき使用者の業務命令に服すべき旨を定めている場合、右規定内容が合理的なものである限り、右規定内容は労働契約の内容となり、労働者に義務づけることになるとされた例 

第2章  市教育委員会実施の定期健康診断においてエックス線検査を受診しなかった市立中学校の教諭が校長の受診命令に従わなかったことが地方公務員法(平成11年改正前)29条1項1号、2号に該当するとされた事例

第5部 所持品検査

第1章  現金を取り扱う電車・バス等の乗務員につき使用者の行なう、所持品検査が許されるための要件

第2章  所持品検査に関する確認書への署名拒否等を理由とする出勤禁止処分、論旨解雇、予備的普通解雇をいずれも無効とした原判決が維持された例

第3章  従業員に対する所持品検査が適法とされた事例

第4章  バス車掌に対する所持品検査が違法とされた事例

第5章  所持品検査を拒否した従業員に対する懲戒解雇を無効とした例

第6章  従業員の会社施設への出入りに際し、守衛が就業規則に基づいて私有品を点検できる限度

第7章  所持品検査の一部拒否を理由のバス車掌から整備課雑務手に降格する旨の懲戒処分が無効とされた例

第8章  就業規則に基づかない従業員に対する所持品検査は違法

第6部 監視

第1章  会社が職制等を通じて特定政党の党員又はその同調者である従業員を監視し独立させるなどした行為が人格的利益を侵害する不法行為に当たるとされた事例

第2章  自動車教習車への録音機設置に抗議したところ、「社長命令が聞けないのであれば辞めて帰れ」と言われ、そのまま帰宅した教習所指導員に対する懲戒解雇事由のいずれにも該当しないものとして、無効とされた例

第3章  盗聴器の設置が、従業員のプライバシーを侵害するものとして、不法行為を構成するとされた例

第4章  Y社による事務室への監視カメラ等設置が,組合員に自分たちの言動がY社により監視されているのではないかとの不安を抱かせ,その結果,事務室内での組合活動を萎縮させる効果を有するもので,同法7条3号の不当労働行為に当たるとされた例

第5章  Y社取締役Bが,Xに対し早朝,深夜,休日,退職後に本件ナビシステムを利用して居場所確認を行ったことは,Xに対する監督権限を濫用するもので違法であって,不法行為を構成し,その損害は10万円が相当であり,BはY社の業務の執行につき不法行為をしたというべきであるから,Y社は民法715条の使用者責任を負うとされた例

第7部 労働局に対し申告したことに対する報復

第1章  大阪労働局に対し,本件工場における勤務実態は業務請負ではなく労働者派遣であり,職業安定法44条,労働者派遣法に違反する行為である旨申告したことに対する報復

第8部 使用者の行う企業秩序違反事件の調査と労働者の協力義務

第1章  使用者の行う企業秩序違反事件の調査と労働者の協力義務

第9部 身だしなみ

第1章  ハイヤー運転手が口ひげをそって乗務する労働契約上の義務がないとされた事例

第2章  バス運転士に対し、夏期において制帽着用義務に違反したことを理由としてされた減給処分が、有効とされた事例

第3章  郵政職員に対し、ネームプレートの着用を義務付けることが、当該職員の氏名権、プライバシー権、思想・良心の自由を侵害しないとされた事例

第4章  労働者の髪の色・型、容姿、服装などといった人の人格や自由に関する事柄について、企業が、企業秩序の維持を名目に労働者の自由を制限しようとする場合、その制限行為は企業の円滑な運営上必要かつ合理的な範囲内にとどまるべきものであるとされ、具体的な制限行為の内容は、制限の必要性、合理性、手段方法としての相当性を欠くことのないよう特段の配慮が要請されるとされた例

第5章  氏名札の着用により侵害される利益は重大なものといえず、不利益処分が行われたとしても事後的な救済が比較的容易であることから、事前の救済を認めないことを著しく不相当とする特段の事情があるとはいえず訴えの利益を欠くとして、氏名札着用の職務命令の差止めおよび不着用に対する注意や訓告の差止め請求を却下した原審の判断が維持された例

第6章  労働者の服装や髪型等の身だしなみは,もともとは労働者個人が自己の外観をいかに表現するかという労働者の個人的自由に属する事柄であり,また,髪型やひげに関する服務中の規律は,勤務関係または労働契約の拘束を離れた私生活にも及び得るものであることから,そのような服務規律は,事業遂行上の必要性が認められ,その具体的な制限の内容が労働者の利益や自由を過度に侵害しない合理的な内容の限度で拘束力が認められるとされた例

第7章  髪型やひげに関する服務中の規律は,勤務関係または労働契約の拘束を離れた私生活にも及び得るものであることから,そのような服務規律は,事業遂行上の必要性が認められ,その具体的な制限の内容が労働者の利益や自由を過度に侵害しない合理的な内容の限度で拘束力が認められるとした1審判決が維持された例

第8章  大阪市交通局(身だしなみ基準・ひげ)事件

第10部 交通立ち番

第1章  交通立ち番の必要性および合理性は認められない

第11部 雇止め

第1章  雇用契約期間を1年,最大2回,最長3年まで更新することがある旨の募集要綱に応募して雇用された大学准教授である控訴人兼附帯被控訴人(1審原告)Xに対する,1年経過時の雇止めについて,本件雇用契約は期間を1年とする有期労働契約であるとしたうえで,有期契約の運用実態,Xの授業に対する高い評価,執筆した論文数およびその内容についての評価,豊富な業務量,被控訴人兼附帯控訴人(1審被告)Y1法人においても引き続き雇用する前提でいたこと等を考慮し,初回の更新の際の合理的な期待は高度であり,2度目の更新についても合理的な期待があったこと,就業規則の規定では更新上限が5年とされていること等から,本件雇止めが不適法とされ,1審判決を変更して,平成31年3月31日までの地位確認請求が認められた例

第12部 出向命令

第1章 本人の同意をえない出向命令に従わなかったことを理由とする懲戒解雇が無効と認められた例

第13部 セクシャルハラスメント

第1章  福岡セクシャルハラスメント訴訟

第2章  京都セクシャルハラスメント事件

第3章  会社の女子従業員が同会社の男子従業員がのぞき見目的で会社の女子トイレ内に侵入しているのを発見したことにつき、事業主には事実関係を迅速かつ正確に調査するとともに事案に誠実かつ適切に対処する義務があり、同会社はその義務を怠ったと認められた事例

第4章  原告がセクハラ行為や嫌がらせと評価すべき取扱いにより精神的苦痛を受けたとして100万円の慰謝料が認められた事例

第5章  被告会社の業務に従事していた原告は,同じく被告会社の業務に従事していた被告Y1,被告Y2及び被告Y3に対しては,従業員の研修会に際して原告に対しその意に反して特定のコスチュームを着用して研修会に参加するように強要したとして,不法行為に基づく損害賠償を請求した。

第14部 パワーハラスメント

第1章  私立高校の女性教諭に対する授業その他一切の公務分拳の取上げ、1人部屋への席の移動、自宅研修等の一連の措置を業務命令権の濫用として違法であるとし、学園に対し慰謝料として600万円の支払を命じた事例

第2章  茨城県の工場採用の労働者らに対し、転勤命令(広島県福山市)へ、転勤義務がないにもかかわらずあるかのように誤信させて退職届を提出させたり、定年まで勤務する意思のある労働者らを、虚偽、強圧的な言動や執拗な退職強要・いやがらせによって退職のやむなきに至らしめた会社の行為が、会社側に債務不履行ないし不法行為に基づく損害賠償責任が認められた例

第3章  社会保険労務士の資格を有する原告が,セミナーハウスを経営する被告財団に雇用され,被告Y(財団理事)やA所長からいろいろな嫌がらせを受け,ストレスの蓄積から体調不良に陥り,現在も通院治療中であるとして,慰謝料及び休業損害(15か月分の賃金相当額)の賠償を求めた事案

第4章  大学病院の耳鼻咽喉科の医師である控訴人X(1審原告)が,被控訴人Y1大学(1審被告)の耳鼻咽喉科教授であるY2(1審被告)から違法な差別的処遇を受けたことについて,不法行為に基づきY1らによる損害賠償責任が認められた例

第5章  X(Y1村役場職員)は,①,Y2(同役場係長)が,Xに対し,いわゆるパワーハラスメントをし,暴行を加えるに至ったとして,②,Y3(同役場課長)は,本件暴行の被害届を撤回するよう強要したり,Xの使用するパソコンを強制的に開示させるなどしたとして,③,Y1は,環境改善を求めるXの依頼に対し,何らの措置も採らなかったため,Xにうつ病及びPTSDを発症させたとして,Y1ないしY3に対し損害賠償を求め,④,Y4(Y1村職員組合)に対しては,主位的に,Xが支払った組合費の返還を求め,予備的に,Y2に対する処分の軽減を求める署名活動を行ったことが違法であるとして,損害賠償を求めた事案(本訴事件)と,①,Y2が,本件暴行(暴行罪で起訴)について傷害罪による略式命令とXが新聞社に説明したことから同旨の報道がされ,名誉が毀損されたとして,また②,Y2,Y3個人に対する請求が認められないことが明らかなのに,Xが本件訴えを維持したことは違法であるとして,Y2,Y3が,損害賠償を求めた事案(反訴事件)である。

第6章  被告Y2社に勤務する原告Xが,Y2社の営業部長兼○課主任であり,Xの上司であった被告Y1から胸部を拳で殴るなどの暴行を受けたり,「預かる」と称して運転免許証や携帯電話を提出させるなどの支配的行為を受けたとして,Yらに対し損害賠償を求めた事案

第7章  県がんセンター所属の麻酔医である被控訴人が,上司からの嫌がらせにより手術麻酔の担当指定を外され退職を余儀なくされたとして,控訴人(県)に対し,国賠法に基づく損害賠償(慰謝料)を求めたところ,原審は被控訴人請求を一部認容したため,控訴人が控訴した事案。

第15部 私的な生活

第1章  部下の私的な生活範囲に対する会社上司の介入の限度

第16部 個人情報

第1章  使用者の従業員に対するHIV告知行為とこの感染を理由とする解雇が違法で不法行為を構成するとされた事例

第2章  被告による不採用の通知は,原告がB型肝炎ウイルスに感染していることのみを理由とする不合理な内定の取消又は内々定取消であり,これによる雇用契約上の権利又は雇用される期待権侵害,無断でB型肝炎ウイルス感染を判定する検査及び精密検査を受けさせたことによる不法行為に基づく各損害賠償請求について,本件不採用は不法行為には該当しないが,本件ウイルス検査は,原告のプライバシー権を侵害するもので違法であるとして,原告の請求を一部認容した事例

第3章  個人のHIV感染に関する情報は保護されるべきであり、事業主がその従業員についてHIV感染の有無を知る必要性は通常認められないことからすれば、事業主であっても、特段の必要性がない限り、HIV抗体検査等によってHIV感染に関する従業員の個人情報を取得し、あるいは取得しようとしてはならず、右特段の必要性もないのにHIV抗体検査を行うことはプライバシーの権利を侵害するとされた例

第4章  警視庁警察官に採用された者が採用時に同意なくして、合理的必要性もないHIV抗体検査を受けさせられたこと、陽性との結果を示されて辞職を勧奨され辞職に至ったことは、違法な公権力の行使であるとして国家賠償責任が認められた事例

第5章  被告Y1社が,同社のタクシー運転手であった原告Xに無断で,第三者(Xの乗客)に対し,同人の携帯電話番号を伝えた情報提供行為につき,会社は,原則として,業務上知り得た従業員の個人情報について,みだりに第三者に提供することは許されないとされ,Y1社のかかる行為はXの「個人情報に係る法的利益ないしプライバシー権を侵害する不法行為」であるとして,繰り返しクレーム電話の嫌がらせを受けたことによる精神的苦痛に対する慰謝料30万円が認められた例

第6章  HIV感染症に罹患しているという情報は,他人に知られたくない個人情報であり,本件情報を本人の同意を得ないまま法に違反して取り扱った場合には,特段の事情のない限り,プライバシー侵害の不法行為が成立するとした1審判断が維持された例

第7章  ①ヒト免疫不全ウイルス(HIV)に関する医学的知見が進展しその治療方法が確立されていること,②原告Xの就労により他者へHIVが感染する危険性は無視できるほど小さいものであったこと,③現在でもなおHIV感染者に対する社会的偏見や差別が根強く残っていることを総合考慮すると,Xが被告Y法人の採用手続きにおいてHIV感染の事実を告げる義務があったということはできないとされた例

第17部 性同一性障害者

第1章  債務者が性同一性障害者である債権者に対してなした懲戒解雇につき,解雇理由としてあげられた①配転命令拒否,②配転命令後の業務の引継ぎを怠ったこと,③社用パソコンを使用して私的に開設したホームページに誹謗中傷または業務上の機密を漏洩する記事を書き込んだこと,④女性の服装,容姿で出勤しないよう命じた業務命令に従わなかったこと,がいずれも懲戒解雇事由に該当せず,または懲戒解雇としての相当性が認められず,権利の濫用として無効とされた例

第18部 配転

第1章 使用者の人事権の行使は経営上の裁量的判断に属する事柄であるが、その行使は、労働者の人格権を侵害する違法・不当な目的・態様をもってなされてはならないとされた例

第2章  原告に対する、副総婦長から病院中央材料室の副看護部長待遇への配転命令につき、業務上の必要が大きいとはいえないにも関わらず、原告に通常甘受すべき程度を著しく越える不利益を負わせるもので人事権の濫用に当たるとして無効とされ、原告の精神的損害に対し慰謝料100万円の支払いが命じられた例

第3章  配転命令が,その本来の適法性いかんにかかわらず,労働者の同意によって有効とされるためには,配転命令が違法なものであってもその瑕疵を拭い去るほどの自由意思に基づく同意であることを要すると解するのが相当であるとされた例

第19部 退職勧奨

第1章  地方公務員である市立高等学校の教員に対する退職の勧奨行為が違法とされた事例

第2章  退職を強要するための職場における暴力行為、いやがらせの行為が不法行為を構成し、会社に使用者責任が認められた事例

第20部 礼儀作法、言語態度、不潔等

第1章  女子中学校教師の礼儀作法、言語態度、不潔等の行状が試用期間中の解雇理由に値しないとして解雇権濫用の主張を認めた事例

第21部 労働条件改善のための活動

第1章  私立高校教諭の勤務成績不良を理由とする解雇が根拠薄弱であり、労働条件改善のための活動を理由とするものであるとして、無効とされた事例

第22部 懲戒解雇の公表

第1章  被告会社が原告らに対し,「不正な経理処理があった」として退職を認めない態度を取り,雇用保険上の離職票および健康保険の脱退証明の交付などをしなかったこと,被告会社の代表取締役が同社内のミーティングにおいて,原告が不正行為を行い何百万円かを私用に供した旨を公言したこと,被告会社が原告らに懲戒解雇通知を行った日に,原告らを懲戒解雇した旨の電子メールを社員約1100名全員に送信したことと,原告が他社に転職できなかったことによる逸失利益との間には,因果関係が認められないとして,不法行為の成立が否定された例

第2章  タクシー会社が不特定多数人の出入りする本社事務室の黒板に「タクシー運転手が料金を横領着服したことにより懲戒解雇処分にした」旨を大書し14日間にわたって掲示したことが名誉毀損にあたるとされた事例

第3章  懲戒休職処分の無効を求め,同処分後にされた,配転命令の効力を争い,懲戒休職処分期間中の賃金等の支払い並びに同処分を社内に公示したこと,及び配転命令がいずれも不法行為に当たるとする慰謝料請求を認めなかった事例

第4章  被告が、原告らを懲戒解雇した事実を得意先等に書面で通知したことは、懲戒解雇が無効である以上、原告らを名誉を毀損する不法行為に該当するとされた例

第5章  懲戒解雇の事実およびその理由を記載した文書を従業員に配布しかつ社内に掲示した会社の行為につき名誉毀損の成立を認めた事例

第23部 男女関係

第1章  バス会社の女子従業員(ガイド)が男子従業員と会社外で情交し懐妊したことは、全く私行上の問題であり会社の運営となんら関係がないから、就業規則所定の懲戒解雇事由である「素行不良または不正不義の行為をして著しく従業員としての体面を汚しまたは会社の名誉をそこなったとき」に当たらないとした事例

第2章  水道配管会社の女性事務員に対する同僚男性社員との不倫を理由とする懲戒解雇が無効であるとされた事例

第24部 診療開始時刻の不遵守,保険適用外検査の無許可実施,書類作成・カルテ返却の懈怠等

第1章  被告Y病院において,内科医長として勤務していた原告Xに対する本件解雇につき,XはY病院の取決めに反し,診療開始時刻の不遵守,保険適用外検査の無許可実施,書類作成・カルテ返却の懈怠等を行ったもので,これらの事実は,それぞれXの服務規律違反を示すとともに,全体として服務規律に従おうとする姿勢の欠如を推認させ,また,患者やその家族とのトラブル,不必要な検査の実施,処方の無断変更については,患者と接する臨床医として,また組織で医療行為を行うY病院に所属する医師としての資質・能力に疑問を抱かせるに十分で,就業状況の不良を示すものであり,以上を総合すれば,Xには少なくとも就業規則上の解雇事由があるものとされた例

第25部 アカデミック・ハラスメント

第1章  Y大学の准教授である控訴人(1審原告)Xのアカデミック・ハラスメントにつき、本件懲戒処分,ハラスメント防止研修の受講,学生との接触禁止,教授会への出席自粛要請等の措置につき不法行為には当たらないとして,XからY大学に対する損害賠償請求を棄却した1審判断が維持された例

第26部 誹謗中傷

第1章  誹謗中傷

第27部 私用メール

第1章 F社Z事業部事件

第2章  原告のメールファイルの点検は,事情聴取により原告が送信者である疑いをぬぐい去ることができず,また,原告の多量の業務外の私用メールの存在が明らかになった以上行う必要があるとし,その内容は業務に必要な情報を保存する目的で会社が所有し管理するファイルサーバー上のデータ調査であることから,社会的に許容しうる限界を超えて原告の精神的自由を侵害した違法な行為とはいえないとされた例

第3章  被告の対外的信用を害する批判を,私用メールの中で繰り返す行為は,労働者の使用者に対する誠実義務の観点からして不適切であり,会社・会社内個人の名誉の毀損(就業規則35条1項5号)に該当するとされた例

第4章  被告の備品であるパソコンを使用した私的メールの交信が懲戒処分の事由には該当するが,被告の減給処分は懲戒処分として重すぎて不当であり,懲戒権の濫用に当たるとした事例

第5章  専門学校の教職員が,勤務先から貸与された業務用パソコンを使用して,出会い系サイトに登録し,勤務中に大量の私用メールのやり取りを行ったことを理由に懲戒解雇とされたことにつき,同懲戒解雇は,解雇権の濫用にあたらないとされた事例

第6章  就業時間中の私用メールにおいて,世間話や同僚のうわさ話,懇親会の打合せといった,業務と直接関係のない話をすることは一般的に行われていることであり,これらが業務上の円滑な人間関係の形成,維持のために必要となる側面も否定できないことからすれれば,就業時間中の私用メールの送信のすべてを職務専念義務違反に問うことは許されないとされた例

第28部 文書データへのアクセス

第1章  控訴人が,就業時間中に業務用パソコンを使用して行った,他部署の文書データへの頻繁なアクセスは,控訴人の業務と無関係なものとは推認できず,若干の被控訴人会社内のものとは考えがたい文書データへのアクセスは,就業規則所定の職務専念義務には違反するが,その程度は極めて軽微であるから,この義務違反を退職金の減額事由にすることはできないとした1審の判断が維持された例

第29部 訴訟

第1章  金融商品の販売等に従事していた労働者が、金融商品の関係処理をめぐって個人的に訴訟を提起し、使用者からの訴訟の取下命令に従わなかったことにつき、この訴訟の提起により使用者の企業秩序に影響が及ぶとはいえず、懲戒解雇することはできないとされた例

第30部 経歴詐称

第1章  期間の定めのない労働契約を締結して被告Y社に中途採用された原告Xに対する経歴詐称等を理由とする試用期間満了前の解雇(本採用拒否)につき,意図的に履歴書等に虚偽の記載をすることは,当該記載の内容によっては,従業員としての適格性を損なう事情であり得るとされ,当該経歴詐称のほかXの勤務態度等が就業規則上の解雇事由(「試用期間中の者が,不適格と判断されたとき」)に該当するとして,本件解雇が解雇権の濫用には当たらず有効であるとされた例

第31部 内部告発

第1章  大阪いずみ市民生活協同組合の幹部の不正を内部告発した職員に対する懲戒解雇、自宅待機等は違法であるとして、同幹部の共同不法行為による損害賠償責任が認められた事例

 

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