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新着情報
2020年09月26日
『労働契約承継法に関する裁判例』をアマゾンで出版しました。

労働契約承継法に関する最高裁・高裁の裁判例を網羅しています。

労働契約承継法の正式名称は、

会社分割に伴う労働契約の承継等に関する法律(平成12年5月31日法律103号)です。

同法は、会社分割の際に行われる労働契約の承継・引継ぎについて規定しています。

会社法の特別法であり、労働法の1つです。

最終改正は2005年(平成17年)7月26日法律第87号。

目次

第1章  1 株式会社の新設分割において,労働契約承継法(平成17年改正前のもの)3条によれば分割をする会社との労働契約が分割によって設立される会社に承継されるものとされている労働者が,当該承継の効力を争うことができる場合

2 株式会社の新設分割において,会社分割に伴う労働契約の承継等に関する法律(平成17年法律第87号による改正前のもの)3条によれば分割をする会社との労働契約が分割によって設立される会社に承継されるものとされている労働者につき,当該承継の効力が生じないとはいえないとされた事例

第2章  1 控訴人Y社の経営構造改革に伴う雇用形態選択において「満了型」を選択したものとみなされた被控訴人AないしE(以下,「Aら」)に対して行われた異職種・遠隔地への配転命令につき,本件経営計画を策定・実施し,50歳以上を対象に雇用形態等の選択をさせる等したY社の経営判断に違法はなく,またAらとY社との間に勤務地・職種限定の合意があったとは認められないとした1審判断が維持された例

2 A~Dに発せられた各配転命令には業務上の必要性が認められず,権利濫用により違法として慰謝料請求を認めた1審判決が変更され,本件各配転命令には業務上の必要性があり,これにより生じた同人らの不利益も通常甘受すべき程度を著しく超えるものとは認められないから,権利濫用にも当たらないとして,同人ら4名の請求が棄却された例

3 Eに対する第1次および第2次配転命令につき,業務上の必要性が認められるものの,本件配転命令によって両親の介護を行うEに生じる不利益は通常甘受すべき程度を著しく超えるものであり,Y社は,Eに対する第1次配転命令がEないしその親族に対しそのような不利益を負わせるものであることを認識していたか,またはこれを認識することができたといえるところ,Y社がEに生じた上記不利益を顧慮することなく,Eに本件配転命令を発したことは,権利濫用として違法であり,これによりEに東京への赴任を余儀なくさせたことは不法行為になるとされた例

4 Eの上記不法行為にかかる慰謝料額につき,1審判決の100万円から150万円に増額して認められた例

第3章  被控訴人の従業員として勤務していた控訴人らが,本件配転命令を労働契約違反等により無効・違法と主張し,配転先勤務の義務のないことの確認と債務不履行等に基づく慰謝料請求をし,原審の確認の訴え却下,その余棄却に対し,控訴した事案

第4章  高年齢者等の雇用の安定等に関する法律9条1項は私法的効力、強行性を有するものではないとされた事例

第5章  本件は,クレジットカード事業等を業とする,株式会社ライフ(以下,「ライフ」)の従業員である控訴人兼被控訴人(1審原告)甲野太郎(以下,「X」)が,業務に起因して精神疾患を発症し休業を余儀なくされたにもかかわらず,ライフが,就業規則に基づく休職期間満了によりXを退職したものと取り扱ったことが無効であり,かつ,精神疾患発症については,ライフに安全配慮義務違反等(債務不履行)・不法行為があると主張して,雇用契約または安全配慮義務違反等(債務不履行)・不法行為による損害賠償請求権に基づき,ライフの承継人である被控訴人兼控訴人(1審被告)アイフル株式会社(以下,「Y社」)に対し,①雇用契約上の権利を有する地位にあることの確認とともに,仮に精神疾患を発症せず継続して就労していれば課長職に就任していたとして,課長職にあることの確認,②①の各地位にあることを前提として,同退職取扱い後の未払賃金,役職手当,賞与等の各支払い(いずれも元金に対する遅延損害金を含む),③Xの精神疾患を発症させたとして,治療費,慰謝料等の損害賠償の各支払い(いずれも元金に対する遅延損害金を含む),④休業手当請求にかかる付加金の支払いを求めた事案である。

第6章  会社分割を理由として労働条件を一方的に不利益変更することが許されないとされた例

第7章  1 原告Xと阪神電鉄との間で,Xの勤務シフトについて,本件排便障害等を理由として本件勤務配慮を行うことが,本件労働契約1における労働条件として黙示的に合意されていたと認めるのが相当であるとされた例

2 労働契約承継法の各規定に照らせば,承継会社に承継される事業に主として従事する労働者には,会社分割に当たり,当該労働者が希望しさえすれば,分割会社との間で従前の労働条件がそのまま承継会社に承継されることが保障されているとされた例

3 労働契約承継法上,通知義務の規定(同法2条1項)に例外規定はないから,転籍にかかる同意が得られたからといって上記通知等の手続きの省略が当然に許されるものとは解されないとされた例

4 本件労働契約1を合意解約し,本件労働契約2を締結して被告Y社に転籍させるという手続きは,労働契約承継法によって保障された,本件労働契約1がそのままY社に承継されるというXの利益を奪うものであり,同法の趣旨を潜脱するものといわざるを得ず,本件労働契約1の合意解約および本件労働契約2は,いずれも公序良俗に反して無効であり,本件労働契約1は,Xが適法に同法4条1項所定の異議申出を行った場合と同様に,そのまま承継会社であるY社に承継されるとされた例

5 労働条件の不利益変更にXが同意したことが認められるとしても,かかる同意は,労働契約承継法によって保障された,本件労働契約1がY社にそのまま承継されるというXの利益を一方的に奪う手続きに基づいてされたものであり,かかる手続きはまさに労働契約承継法の趣旨を潜脱するものというべきであるから,上記同意による勤務配慮にかかる労働条件の不利益変更は,公序良俗に反して無効であり,本件労働契約1における本件勤務配慮にかかる合意は,上記Xの同意によっては変更されないとされた例

6 4者合意中の勤務配慮に関する条項も,公序良俗に反し無効と解するのが相当であるとされた例

7 Y社がXをリードして行った解約型の転籍合意(本件労働契約1の解約および本件労働契約2の締結)や,勤務配慮をしない旨の労働条件の変更に対するXの同意等は,労働契約承継法の趣旨を潜脱するもので,公序良俗に反するものであるが,Y社が意図的に労働契約承継法の趣旨を潜脱することを目的として,これらの解約型の転籍合意等をさせたとまで認めるに足りる証拠はない等として,Xが何らかの精神的苦痛を受けたとしても,Y社が損害賠償義務を負うものではないとされた例

第8章  1 被控訴人(1審被告)Y社の「定年後再雇用規程」における定年後の再雇用契約は,原則として契約期間を1年として締結し,したがって,契約期間である1年が経過することにより終了することとなるが,例外的に再雇用満了年齢に達した年月の月末を終期の上限として1年未満の契約を定めることができることを規定したものと理解すべきであるとした1審判断が維持された例

2 控訴人(1審原告)Xについては,Xが再雇用満了年齢に達するとともに,本件雇用契約において契約期間の終期と定められた平成26年11月7日をもって定年後の再雇用契約が終了したというべきであるとされた例

3 旧A社の「定年再雇用規程」によれば,Xが満65歳となった平成26年11月7日をもって定年となり,Xの再雇用の期間が満了し,本件雇用契約が終了することになることは明らかであるとされた例

4 Y社の「定年後再雇用規程」の3条における「再雇用満了年齢に至るまで更新することができる」というのは,「再雇用満了年齢に至るまで更新する」という規定ぶりからすると,再雇用満了年齢に達する以前に再雇用契約の更新期間が開始していることが前提であると解され,再雇用契約の更新期間が再雇用満了年齢に達した後に開始することは予定されていないから,再雇用契約が再雇用満了年齢に達して契約期間も満了となった後にその月末まで契約期間が更新される余地はないというべきであるとされた例

5 Y社の「定年後再雇用規程」の一部の文言のみを取り出し,その文理のみから直ちに定年後の再雇用の終期についての解釈を導こうとするXの主張は相当ということはできないとされた例

6 定年後の再雇用契約が更新される蓋然性が高いとか,その契約期間が再雇用満了年齢に達した月の末日までとなる蓋然性が高いということができるものではないとされた例

第9章  本件は,①被控訴人会社の従業員である控訴人番号1ないし58の控訴人ら(以下「個人控訴人ら」という。)が,被控訴人会社のバス事業がその子会社であるA株式会社(以下「A」という。)に譲渡されるのに伴い,Aに在籍出向し,バス運転業務(控訴人X1につき車両整備業務)に従事していたところ,被控訴人会社から,順次,出向の解除を命じられ(以下「本件復職命令」という。),バス運転業務(控訴人X1につき車両整備業務)に従事することができなくなったが,本件復職命令は,労働協約,個別労働契約に違反し,権利濫用であって,不当労働行為に当たるから,無効であるなどと主張し,被控訴人会社に対し,(ア)控訴人番号2および5の控訴人らを除く個人控訴人らが,バス運転士(控訴人X1につき車両整備士)以外の業務に勤務する義務がない労働契約上の地位にあることの確認を求め,(イ)個人控訴人らが,不法行為に基づく損害賠償として,それぞれ110万円およびこれに対する本件復職命令の各発令日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めるとともに,②控訴人組合が,被控訴人らに対し,上記①の違法行為により組合員の信頼を喪失したなどと主張し,被控訴人会社につき労働協約違反の債務不履行または不法行為および被控訴人会社の代表取締役である被控訴人Y2につき会社法429条1項または不法行為に基づく損害賠償として,330万円およびこれに対する本件復職命令の最初の発令日である平成28年4月16日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の連帯支払を求めた事案である。

 

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