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2020年09月09日
『障害者雇用促進法に関する裁判例』をアマゾンで出版しました。

障害者雇用促進法に関する裁判例を網羅しています。

障害者雇用促進法の正式名称は、「障害者の雇用の促進等に関する法律」です。

同法は、昭和35年(1960年)に制定された法律で、その後段階的な改正を経てきました。

目次

第1部 民事訴訟事件

第1章 1 私病により視力障害者となった労働者が解雇を争う訴訟において、その解決のために3か月間の試用を行い、これに基づいて民事調停法17条決定をした事例

2 疾病のため一部の労務提供ができなくなった休職中の労働者が復職を申し出た場合に使用者が考慮すべき事柄について説示した事例

第2章 知的障害者である原告らが,勤務していた会社の経営者である被告Aから暴力行為等を受けたこと,適正な賃金が支払われないなどの劣悪な労働条件等の下で労働を強いられたこと,障害基礎年金を横領されたこと等につき,被告Aのこれらの行為が不法行為等にあたるとして,被告Aに対し損害賠償を請求するとともに,知的障害者更生施設や福祉事務所等には必要な調査等を行わなかった違法があると主張して被告滋賀県に対し,また,労働基準監督署や公共職業安定所にも必要な指導等を行わなかった違法があると主張して被告国に対し,それぞれ損害賠償を請求した事案である。

  原告らが責任追及の対象とした機関等は,被告滋賀県については,知的障害者更生施設,身体障害者更生施設,福祉事務所,滋賀県障害福祉課および滋賀県広報課であり,被告国については,労働基準監督署および公共職業安定所である。

第3章 1 知的障害者の使用者の障害者に対する暴力、適正賃金の不払、劣悪な労働条件下での作業強制等の不法行為を理由とする損害賠償請求が認められた事例

2 知的障害者更正施設を退所して私企業に雇用された知的障害者が使用者の暴力等により死亡した場合に右施設の使用者(滋賀県)に就労状況等の調査義務の懈怠があったとして損害賠償責任があるとされた事例

3 労働基準監督官が知的障害者からその使用者の最低賃金法違反等を記載した文書等を受理したが監督権を行使しなかったことが違法とされた事例

4 公共職業安定所に求職登録をその紹介により就職した知的障害者の職場の実情につき右安定所の監督権の不行使が違法とされた事例

第4章 小中学校の歯科巡回指導を行う歯科衛生士に対し、職務の遂行に支障がありまたはこれに堪えないとしてされた解雇が有効とされた事例

第5章 知的障害者の女性3名が、勤務先の会社の社長から職場でセクハラ、パワハラ、虐待を受けたことによる損害賠償請求が認められた事例

第6章 弱視になったことにより高校教諭から事務職員への職務変更がなされたとは認められない事例

第7章 1 自宅での心肺停止後,低酸素脳症によって高次脳機能障害を負った原告職員がなした,被告公庫への退職の意思表示の有効性につき,退職当時,原告の精神的能力は,4歳ないしは5歳の程度に固定し,それが現在も続いているとされ,意志能力とは,事理を弁識する能力であり,おおよそ7歳から10歳程度の知的な判断力であると考えられるが,原告の判断能力はこの水準に達していないものといわざるを得ず,本件退職時,原告は,意志無能力の状態にあったなどとして,本件退職の意思表示は無効であるとされた例

2 本件退職当時,原告には被告の業務を遂行する能力がなかったことは明らかであり,被告が産業医の判断を経ず,原告の主治医の判断や主治医作成の診断書に基づいて,その就労能力を判断したことは相当性を欠くものではなく,被告の就業規程は休職について規定する一方,解雇の要件を定めており,就労能力のない従業員を被告が雇用し続けなければならない義務が存在するとは解しがたいとして,被告が休職命令を発しなかったことを相当でないとはいえないとされ,それらの判断を不当とする損害賠償請求が棄却された例

3 本件退職にかかる原告の意思表示は無効であり,原告は従業員としての地位を失っていないが,労働契約は,労働者の労務の提供に対し,その対価として賃金を支払うものであるから,労働者が,使用者,労働者双方の責任によらず,労務の提供をすることができない場合には,使用者は賃金の支払義務を負わない(危険負担における債務者主義の原則)とされ,同原則により,原告は,本件退職以後の賃金請求権を有しないとされた例

第8章 1 被告Y社に勤務し,知的障害を伴う自閉症を有していたKの自殺による死亡につき,その結果発生についての安全配慮義務違反および注意義務違反が認められるためには,前提として,Kの自殺という結果が発生したことについての予見可能性が必要であるとされ,その予見可能性の対象としては,自殺することないしうつ病に罹患していることの認識まで要するものではなく,自殺の原因ないしうつ病を発症する原因となる危険な状態の発生の認識があれば足りるとされた例

2 雇用時間の短縮等の雇用形態の変化が,自閉症を有する被用者にとって一定の負担となりうるものであるとしても,それが一定の負担となることを超えて,それに起因して被用者がその精神状態を著しく害して自殺するに至ることまで,通常生ずべき結果であると解することはできず,むしろ特異な結果というべきであるとされた例

3 本件においては,あくまで自殺という結果に対する予見可能性がなければ安全配慮義務違反および注意義務違反を問うことはできないと解せられ,具体的な予見可能性が必要となるところ,Kの自殺についてY社が具体的に予見可能であったとはいえないとして,遺族である原告Xの請求が棄却された例

第9章 雇用契約を更新しない旨の意思表示(以下,本件雇止め)は無効であるとして,雇用契約上の地位にあることの確認ならびに本件雇止め以降の賃金および同僚からの嫌がらせで精神的苦痛を被ったとする被告の債務不履行または不法行為に基づく慰謝料の支払を求めた事案

第10章 被告Y社に勤務しカスタマーサービス業務等に従事していた原告Xにつき,同人は自宅において脳出血を発症し,その後遺症(右片麻痺)により休職となったが,就業規則所定の休職期間満了(平成19年9月25日)の翌月から,同社人事部等において無給で週3日・短時間の作業に従事するようになり,約1年後の平成20年10月31日に退職取扱いとされたものであるところ,本件作業従事はXのリハビリのための事実上の作業従事という域を出ないものであり,平成19年9月25日の休職期間満了時点で復職という取扱いがなされたとはいえないとされた例

第11章 債務者(旅客鉄道事業法人)から有期労働契約の更新を拒否された債権者が,本件雇止めは権利濫用に当たり無効であるとして,債務者に対し,労働契約上の地位を仮に定めることおよび賃金仮払を求めた事案

第12章 1 使用者による就職希望者に対する求人は雇用契約の申込みの誘引であり,その後の協議の結果,就職希望者と使用者との間に求人票と異なる合意がされたときは,従業員となろうとする者の側に著しい不利益をもたらす等の特段の事情がないかぎり,合意の内容が求人票記載の内容に優先するとされた例

2 うつ病罹患により障害等級3級と認定されていた原告Xが,法定障害者雇用率回復のためにハローワークに障害者の求人を出していた被告Y社に採用され,雇用期間を約5か月間とする第1契約とこれに続く第2契約を締結した後に雇止めとされた件につき,本件求人票には雇用形態につき「正社員」と記載されていたところ,Xは期間の定めのある第1契約の契約書に特段の異議を述べることなく署名押印しており,また,その契約内容につき1か月以上検討する機会があったし,Y社への就職を余儀なくされる事情はなかったのであるから,上記1にいう特段の事情は認められず,X・Y社間の雇用契約関係は,採用面接で契約書記載の条件が説明されたかどうかにかかわらず,第1契約の契約書記載の内容で合意されたものとされた例

3 X・Y社間の第2契約は期限の定めのある第1契約を更新したものであるとされ,したがってXの契約更新回数は1回だけであり,またXの勤務態度は,ミスを重ねたうえに,それを隠そうとしていたというものであって,Y社が今後の改善が見込めないと判断したことも不合理とはいえない等として,本件雇止めを有効とした1審判断が維持された例

4 Xの指導担当者Bがハラスメントを行った事実は認められない等として,Xの慰謝料請求を棄却した1審判断が維持された例

5 障害者雇用促進法5条の定めからすれば,障害者を雇用する事業者は,障害者である労働者が健常者と比較して業務遂行の正確性や効率に劣る場合であっても,労働者が自立して業務遂行ができるよう支援し,その指導に当たっても,労働者の障害の実情に即した適切な指導を行うよう努力することが要請されているということができるが,同法はまた,障害者である労働者に対しても,「職業に従事する者としての自覚を持ち,自ら進んで,その能力の開発および向上を図り,有為な職業人として自立するように努めなければならない」(同法4条)として,その努力義務について定めているのであって,事業者の協力と障害を有する労働者の就労上の努力が相俟って,障害者雇用に関し社会連帯の理念が実現されることを期待しているのであるから,事業者が労働者の自立した業務遂行ができるよう相応の支援および指導を行った場合は,当該労働者も業務遂行能力の向上に努力する義務を負うものであるとされた例

6 Y社はXをその能力に見合った業務に従事させたうえ,適正な雇用管理を行っていたということができ,にもかかわらず,Xは作業上のミスを重ね,指導を受けても改善を図らなかったばかりか,失敗を隠蔽していたものであるから,

本件雇止めには合理性が認められるとして,障害者雇用促進法違反をいうXの2審主張が退けられた例

第13章 原告が会社に対し,解雇権の濫用を主張して雇用契約上の地位確認等を求め,会社と上司らに対し,上司らによる原告の社外女性へのセクハラ疑惑に関する追及や営業活動の禁止などの共同不法行為により損害を被ったとして,損害賠償を求めた事案

第14章 アスペルガー症候群の労働者について休職期間満了時において休職の事由が消滅したといえないと判断され,その労働契約上の地位の確認請求等が棄却された事例

第15章 D学長およびE学部長ならびにY学校法人としての解雇の意思表示を議決した懲戒等審査委員会は,本件解雇に至るまでに,Xが引き起こした問題の背景にアスペルガー症候群が存在することを前提として,解雇事由の判断を審査したり,Xに必要な配慮の調査,解雇以外に雇用を継続するための努力の検討がなされていないことから,Xに対して行ってきた配慮がY法人の限界を超えていたと評価することは困難であるとされた例

第16章 被告と期間の定めのない雇用契約を結んで就労していた原告が,被告から合理的理由もなく解雇されたとし,地位確認と賃金請求をした事案

第17章 視覚障害者となった大学教員に従来担当していた授業を担当させず学科事務のみを担当するよう命じる職務変更命令は職務の内容を変更するものであり,当該変更に伴って従来使用していた研究室からキャリア支援室への移動を命じる研究室変更命令は勤務場所の変更を命じるものであるから,これらは全体として配転命令の性質を有し、本件職務変更命令および本件研究室変更命令は業務上の必要性を欠くものであり,Xに対して通常甘受すべき程度を著しく超える精神的苦痛を負わせるものであるから,権利濫用として無効であるとされた例

第18章 知的障害者であるKの逸失利益の有無および額

第19章 被告との間で無期労働契約を締結した原告が,被告の人事評価に基づく月例賃金(加給)・賞与の各減額は無効であるとして,①前記各減額分の支払を,配転命令・出向命令・戒告・普通解雇いずれも無効であるとして,②配転・出向先において勤務する労働契約上の義務不存在,③戒告無効,④労働契約上の地位各確認を,⑤解雇後のバックペイとしての月例賃金の支払を各求めた事案

第20章 本件は,被告Y1株式会社(以下「被告会社」という。)と雇用契約を締結し,被告会社の新喜連プラザ店(以下「本件店舗」という。)に勤務していた原告が,①被告会社から解雇されたが,同解雇は労働基準法(以下「労基法」という。)19条に違反し無効であるなどとして,雇用契約上の権利を有する地位にあることの確認を求めるとともに,賃金および賞与の支払ならびにこれらに対する各支払期日の翌日から支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払を求め,②本件店舗の店長であった被告Y2(以下「被告Y2」という。)からセクシュアルハラスメント行為(以下「セクハラ行為」という。)またはパワーハラスメント行為(以下,「パワハラ行為」といい,セクハラ行為と併せて「セクハラ行為等」ということがある。)を受けてうつ病に罹患し,その後被告会社担当者の不適切な行為によりうつ病が悪化したとして,被告らに対し,連帯して,不法行為(使用者責任)に基づく損害賠償および遅延損害金の支払を,それぞれ求める事案である。

第21章 本件発言によって,Kがうつ病の程度を悪化させ,それによって自殺したとは認められないとして,Dの注意義務違反とKの自殺との間の因果関係が否定された例

第22章 本件は,被告に合併された株式会社を定年退職した後に,期間の定めのある労働契約を同社と締結し,期間満了により同社を退職した原告が,被告に対し,同退職の際に遅滞なく雇用保険被保険者離職票を交付すべき労働契約上の義務に違反したと主張して,債務不履行に基づき,56万2229円およびこれに対する訴状送達日の翌日である平成30年11月29日から支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払を求めるとともに(前記第1,1),定年退職後に締結した労働契約と定年退職前の労働契約との間に不合理な労働条件の差別があったと主張して,債務不履行または不法行為に基づき,716万2485円および遅延損害金の支払を求める事案である。

第23章 本件は,期間の定めのある労働契約(以下「有期労働契約」という。)を社会福祉法人である被告と締結している原告が,期間の定めのない労働契約(以下「無期労働契約」という。)を被告と締結している職員との間で,産前休暇の期間および産前産後の休暇期間における給与の支給の有無に相違があることは,労働契約法20条に違反すると主張して,①労働契約に基づき,産前休暇および産前産後の休暇期間における給与の支給について,無期労働契約の職員と同様の就業規則の規定の適用を受ける労働契約上の権利を有する地位にあることの確認を求めるとともに,②不法行為に基づく損害賠償として,第1子の出産の際に,無期労働契約の職員と同様の扱いを受けていれば産前8週間に支払われるべきであった給与と,原告が全国健康保険協会(以下「協会けんぽ」という。)から出産手当金として支給された金員との差額に相当する14万1560円,③第2子の出産に関して,不法行為に基づく損害賠償として,産前8週間前から同6週間前までの期間に原告が取得した年次有給休暇相当額である9万2400円および主位的には労働契約に基づく賃金請求として,予備的に不法行為に基づく損害賠償として,無期労働契約の社員と同様の扱いを受けていれば産前6週間および産後8週間の期間に支払われるべきであった給与と,原告が協会けんぽから出産手当金として支給された金員との差額に相当する19万1520円,④不法行為に基づく損害賠償として,原告が無期雇用契約社員と有期雇用契約社員を区別する違法な取扱いによって被った精神的苦痛に対する慰謝料100万円の各支払ならびに②に対する原告の第1子出産時の産後休暇が明けた次の給与支払期日である平成27年9月25日から,③および④に対する原告の第2子出産時の産後休暇が明けた次の給与支払期日である平成30年4月25日から,各支払済みまで,民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。

第24章 本件は,原告が,被告との間で期間の定めのない労働契約を締結して稼働していたところ,被告は,原告との間の労働契約が平成30年2月1日に期間の定めのある労働契約に変更され,同年4月30日の期間満了により同労働契約は終了したと主張するが,上記労働契約の変更は無効であると主張して,地位確認ならびに未払賃金および遅延損害金の支払を求める事案である。

第2部 行政事件訴訟

第1章 1 国家公務員法78条2号(心身の故障)該当職員が受診命令を拒否した場合、適格性欠如の要件、受診命令拒否の要件をともに充たせば、医師2名による診断がない場合でも、国家公務員法78条3号に基づき、当該職員を分限免職処分に付することができる。

2 障害者雇傭促進法が想定している障害の程度をはるかに越える重い障害のため、職務を遂行する能力に著しく欠ける職員に対し、国家公務員法78条2号(心身の故障)に基づき分限免職処分に付しても、同処分が障害者雇傭促進法の精神に違反する違法なものであるとはいえない。

第2章 原告が被告に対し,情報公開法に基づく障害者雇用状況等の公開請求に対し一部開示決定につき,不開示部分が情報公開法所定の不開示事由に該当しないのに不開示としたのは違法である旨主張して,不開示部分を不開示とした部分の取り消しを求めた事案である。

第3章 障害等級3級に該当するとして障害厚生年金を受給していた原告が,被告長官がなした原告の障害厚生年金の支給を停止した処分および被告審査会がなした原告の再審査請求を棄却した裁決の取消しを求めた事案

第4章 障害者の雇用の促進等に関する法律49条1項5号および同施行規則20条の3の定める重度障害者等通勤対策助成金の1つである重度障害者等用住宅の賃借助成金の支給につき、助成金支給要領の定める支給対象事業主に該当することの確認を求める訴え、確認の利益を有すると判断された事例

第5章 原告が,20歳未満の時に初診を受けた精神遅滞により20歳に達した日に障害等級2級に該当する障害の状態にあるとして,厚生労働大臣の障害基礎年金不支給処分の取消しを求めた事案。

第6章 労働者の有する障害の存在が当該労働者を雇用する際の前提とされ,当該障害の故に所要の労務軽減がされているような場合には,障害の故に労務軽減が必要とされていることを年齢,経験等に準ずる属性として考慮することが適切と考えられるが,亡Kについてはかかる事情が認められないし,本件会社がKの障害を知り,または知り得たとしても,かかる事業主の認識が無過失責任に立脚する労災保険制度上の給付の有無を左右することになるとは解することができないとした1審判断が維持された例

第7章 障害者雇用枠の契約社員として就労している者の障害の状態が障害等級2級に該当するとされた事例

第8章 本件は,広汎性発達障害を有する原告が,被告国が設置する公共職業安定所を通じ,被告県が被告国から委託を受けて実施する職業能力開発促進法4条2項に基づく職業訓練の受講を申し込み,その受講のための選考を受験したところ,被告県が原告に対して発達障害を理由として同選考を不合格とする処分をしたことが違法であると主張して,被告県に対し,同処分の取消しおよび国家賠償法1条1項に基づく慰謝料等165万円および遅延損害金の支払を,被告国に対し,国家賠償法1条1項に基づく慰謝料等165万円および遅延損害金の支払をそれぞれ求める事案である。

第9章 本件は,原告が,20歳未満の時に初診を受けた知的障害により,20歳に達した日に障害等級に該当する程度の障害の状態にあり,国民年金法(以下「国民年金法」という。)30条の4第1項所定の障害基礎年金の支給要件を充足しているとして,厚生労働大臣に対し,障害基礎年金の支給の裁定請求(以下「本件裁定請求」という。)をしたところ,同大臣から,20歳に達した日において障害等級に該当する程度の障害の状態にあるとは認められないとして,障害基礎年金を支給しない旨の処分(以下「本件処分」という。)を受けたことから,原告の障害の状態は障害等級2級の程度にあるとして,本件処分の取消しを求めた事案である。

第10章 1 原告Xには,本件処分当時,地公法28条1項1号および3号に定める分限事由(勤務実績不良および適格性欠如)があったと認めるのが相当であるとされた例

2 Xには,頭部外傷後遺症による高次脳機能障害があったと認めるのが相当であるとされた例

3 被告Yにおいて,Xが高次脳機能障害であることを認識し得たとは認められないとされた例

4 Xの勤務状況等を踏まえてなされた本件処分については,処分行政庁が有する裁量権を逸脱し,または濫用したものであるとは認められないとされた例

5 YにおいてXの高次脳機能障害という障害に応じた具体的な合理的配慮を提供するためには,少なくとも本件処分当時,YにおいてXが高次脳機能障害であることを認識し,または認識し得たことが必要と解されるところ,Yは,本件処分当時,Xが高次脳機能障害であることを認識し,または認識し得たとは認められないとされた例

第11章 障害者雇用促進法の規定を個別にまたは全体としてみても,国または地方公共団体における個々の職員の任用の根拠やその性質・内容を規律するものとは解されないため,同法を根拠として,本件任用を期間の定めのないものと認めることはできないとされた例

第12章 本件は,学校法人である原告が,原告の運営する医療専門学校について,あん摩マツサージ指圧師,はり師,きゆう師等に関する法律(以下「あはき師法」という。)2条2項に基づき,視覚障害者以外の者を対象とするあん摩マッサージ指圧師養成施設の認定の申請をしたところ,厚生労働大臣が,視覚障害者であるあん摩マッサージ指圧師の生計の維持が著しく困難とならないようにするため必要があるとして,同法附則19条1項に基づき,上記認定をしない旨の処分をしたため,原告において,同項が憲法22条1項(職業選択の自由),31条(適正手続の保障)等に違反して無効であるなどとして,同処分の取消しを求める事案である。

第3部 刑事事件

第1章 障害者雇用調整金や報奨金をだまし取ったとして詐欺罪に問われた事案

 

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